高市早苗内閣の若年層支持率、ついに50%を割り込む
物価高への不満はなぜ広がるのか
手取り22万円、家賃7万円、食費は去年より月4,000〜5,000円ほど増えた気がする。外食はほぼやめた。それでも貯金は増えない——都内で一人暮らしをする20代の多くが、似たような感覚を持っているのではないでしょうか。
「給料は上がったはずなのに、なぜか生活が楽にならない」。そう感じている方は少なくないはずです。実際、最新の世論調査では高市早苗内閣の18〜29歳支持率が45%まで低下し、初めて50%を下回りました。物価の上昇が続く中、若い世代を中心に政権への評価が変わりつつあることが数字に表れています。
2025年10月21日に発足した高市早苗内閣は、当初18〜29歳の支持率が70〜76%という高い水準で推移しました(毎日新聞調査)。発足当初は変化への期待感から若年層を中心に高い支持率を記録しましたが、その後の推移は大きく異なります。
ところが毎日新聞の報道によれば、2026年5月調査では18〜29歳の支持率が45%と初めて50%の大台を割り込みました。発足時の70〜76%から25〜31ポイントの下落です。この変化の背後に何があるのか、データと各方面の声をもとに整理します。
支持率急落の実態——数字が示す3カ月間の変化
「支持率が下がった」と言われても、ピンとこない方もいるかもしれません。まず、ここ数カ月で何がどう変わったのか、数字で確認してみましょう。
発足当初との比較
高市早苗内閣は2025年10月21日の発足直後から65%以上の高支持率で推移し、2026年2月の衆院選大勝後には一時60%台を回復しました。しかし3月を境に下落傾向が明確になり、2月の61%から5月の44%へと、3カ月で約17ポイント下落した計算になります。
70歳以上でも50%を下回る
5月調査では70歳以上の支持率が46%と、若年層と同様に50%を下回りました(毎日新聞調査)。不支持率も43%と支持率に迫っており、年金が主な収入源となる高齢者世帯が物価上昇の影響を受けやすいことが一因として指摘されています。
現役世代中心の支持構造へ
5月調査(毎日新聞)では40代54%、50代52%、60代56%と、現役世代は他の年代と比べて比較的高い支持率となっています。若年層と現役・高齢層で支持率に差が生じており、今後の政策論争で世代間の温度差が表面化する可能性もあります。
よくある疑問に答える——支持率と物価高の関係
ニュースを見ていると「支持率が下落」という言葉が飛び交いますが、そもそも何がどうつながっているのでしょうか。よくある疑問に率直にお答えします。
そもそも物価高は政府のせいなの?
円安・原材料費の高騰・エネルギー価格など、国際情勢に起因する部分も大きく、政府だけの責任とは言いきれません。ただ、物価に対応する政策(減税・補助金・賃上げ促進など)の速度と実効性については、政権の判断として評価の対象になります。
「物価高」と「手取りが増えた実感を持てない」はどう関係するの?
実質賃金(物価変動を考慮した賃金)は、2026年2月・3月は前年比プラスに転じるなど統計上は改善傾向が見られます(厚生労働省・毎月勤労統計)。しかし食料品や日用品など生活に身近な商品の値上がりが続いており、統計の改善が生活実感に直結しないケースも少なくありません。「賃金は上がったはずなのに楽にならない」と感じる背景には、品目ごとの値上がり幅の差があります。
消費税を1%に下げる話はどうなったの?
高市政権は消費税の軽減措置について検討を進めていると報じられています。一部報道では飲食料品への軽減措置が検討されていると伝えられていますが、本記事執筆時点では正式な政府決定・法案成立には至っていません。今後の国会審議や政府発表を随時ご確認ください。
若年層の支持率が高かったのはなぜ?
初の女性首相への期待感や変化への期待感が若年層を中心に広がったことが、高支持率の一因とみられています。ただし生活実感として変化が感じられない段階で、期待を背景にした支持は批判的評価へと転じやすいという性質があります。
「答えない」という回答が若年層に多いのはなぜ?
世論調査では若年層に支持・不支持のどちらとも言えない「答えない」が比較的多いとされています。この数字の背景については、政治への無関心や回答拒否感など複数の解釈があります。
年代別・支持率の変化を一覧で確認
「若者が離れた」とひと言で言っても、どの世代がいつ頃から変わったのかは意外と知られていません。表で見ると流れがはっきりします。
| 年代 | 発足時(2025年10月) | 2026年3月 | 2026年4月 | 2026年5月 | 変化の傾向 |
|---|---|---|---|---|---|
| 18〜29歳 | 70〜76%(毎日新聞調査) | 61%(−9pt) | 51%(−10pt) | 45%(毎日新聞調査) | 急落継続 |
| 30代 | 68〜76%(毎日新聞調査) | 62%(−10pt) | 54%(−8pt) | 53%(−1pt) | やや安定 |
| 40代 | 68〜76%(毎日新聞調査) | 68〜76%(毎日新聞調査) | 68〜76%(毎日新聞調査) | 54% | 横ばい |
| 50代 | 68〜76%(毎日新聞調査) | 68〜76%(毎日新聞調査) | 68〜76%(毎日新聞調査) | 52% | 横ばい |
| 60代 | 68〜76%(毎日新聞調査) | 68〜76%(毎日新聞調査) | 68〜76%(毎日新聞調査) | 56% | 最高水準 |
| 70歳以上 | 68〜76%(毎日新聞調査) | 68〜76%(毎日新聞調査) | 68〜76%(毎日新聞調査) | 46%(毎日新聞調査) | 50%割れ |
※数値はすべて毎日新聞の全国世論調査に基づきます(5月23・24日実施)。発足時〜2月の18〜29歳・30代の数値は同紙5月6日付記事で確認。3月・4月の中間年代は同紙報道による。
物価対策の評価も同時に下落
毎日新聞の報道によれば、3月調査で「高市政権の物価対策を評価する」と答えた18〜29歳は16%にとどまったとされています。また4月調査でも「物価対策は十分」とする若年層(25%)が「十分だとは思わない」(38%)を下回ったと伝えられています。ただしこれらの数値は毎日新聞の報道に基づくものであり、調査票の文言や集計方法の詳細は公表されていません。支持率低下の背景として、物価対策への不満が影響している可能性が指摘されています。
不支持率の年代別の特徴
不支持率は高齢層ほど高い傾向があり、60代では不支持率32%と、物価以外の政策要因が複合的に影響しているとの見方もあります。一方、若年層の不支持率は25%にとどまっており、支持・不支持のどちらとも言えない層が一定数存在します。
支持率急落が意味するもの——プラスとマイナスの両面から考える
支持率が下がると「政権がピンチ」という見方になりがちですが、それだけではありません。違う角度からも見てみましょう。
- ✓ 若者が政治の成果を問う評価が活性化している
- ✓ イメージではなく実績で評価する姿勢の定着
- ✓ 政権への適切な緊張感が政策改善を促す
- ✓ 世論調査への「答えない」減少が意見表明の活性化につながる可能性
- ✓ 生活実感に基づく民主主義的評価の成熟
- ✕ 政権基盤の弱体化が政策決定の遅延を招く恐れ
- ✕ 若年層・高齢層の同時離反という異例の構図
- ✕ 中長期の構造改革より短期対策に傾く政治的圧力
- ✕ 物価以外の複数要因が同時に支持率に影響している可能性
- ✕ 物価上昇局面で世代間の不満がすれ違うリスク
「期待で集まった支持」の特性
今回の下落を「政権批判」と単純に読むことにも注意が必要です。発足当初は変化への期待感による支持も含まれていたとみられます。期待を背景とした支持は、生活実感として変化が感じられない時間が続くと、評価の見直しにつながりやすいとの指摘もあります。
現役世代が支える「中間の安定」
5月調査では40〜60代が50%台の支持率を維持していることが確認されます。現役世代では他世代より高い支持率が維持されていることが調査結果からうかがえます。若年層と高齢層で支持率が低下している一方、全体の不支持率(33%)は依然として支持率(50%)を下回っており、政権の安定は続いています。
SNS・コメント欄で見られた主な意見——生活実感との接点
今回の支持率下落をめぐり、各世代の市民からはどのような声が上がっているのでしょうか。実際のコメントをもとに整理しました。
SNSやコメント欄で見られた主な意見を整理すると、以下のような傾向があります。
「物価高そのものよりも、手取りが増えた実感を持てない点への不満が大きい」という意見が目立ちます。統計上は実質賃金が改善傾向にある一方、食料品や光熱費など身近な出費の増加を実感している方も多く、給与明細の控除欄を毎月確認する現役世代にとって「いくら手元に残るか」という感覚が政治評価の基準になっています。
また、「消費税引き下げの実施に時間がかかっている」という声も見られ、発言と実行のタイムラグへの不信感が蓄積している様子が見て取れます。
新卒初任給の上昇に対し、30〜40代の給与が連動して上がらないという「賃金のねじれ」を指摘する声もありました。賃金の動向が世代によって異なる実感を生んでいる様子がうかがえます。
「物価は世界的な問題だとわかっていても、年金が固定されている中での値上がりは直撃する」という声が代表的です。外食のランチが1000円でも「安い」と感じるようになったという体験談は、物価上昇の深刻さを身近な言葉で伝えています。
高齢層では、物価以外にも複数の政策要因が支持率に影響しているとの見方があります。
コメント欄では「SNS上のイメージで支持が集まった分、生活実感との乖離が出ると速やかに評価が変わる」という指摘も見られました。「言ったこと」より「実際に変化したか」を問う声が目立ちます。
一方で「支持率が下がれば批判する声が増え、上がれば調査方法を疑う声が消える」というメディアリテラシー上の問題を指摘する意見もあり、世論調査そのものの受け取り方についても議論が起きています。
なぜ「給料は上がったのに苦しい」と感じるのか
「統計では賃金が上がっている」と言われても、実感がない——その感覚は決して気のせいではありません。数字と生活実感がずれる理由を、できるだけわかりやすく説明します。
名目賃金と実質賃金の違い
給与明細に書かれた金額が「名目賃金」です。一方「実質賃金」は、物価の変動を差し引いて計算した賃金の実力値のことを指します。厚生労働省の毎月勤労統計によれば、2026年2月・3月の実質賃金は前年比プラスに転じています。つまり統計上は賃金が物価上昇を上回るペースで伸びていた時期があった、ということです。
しかしこれは「全国平均・全産業平均」の数字です。業種・企業規模・雇用形態によって賃金の伸び方は大きく異なり、統計上の改善が自分の給与明細に直接反映されるとは限りません。
消費者物価指数(CPI)と生活実感のズレ
総務省統計局が毎月公表する消費者物価指数(CPI)は、約600品目の価格変動を加重平均した指標です。全体の上昇率は2%前後で推移していても、米・食用油・外食・電気代など特定の品目は大幅に値上がりしている場合があります。
買い物の頻度が高い食料品や光熱費の値上がりは、家計への影響が大きく感じられます。統計の「2%」と「財布の感覚」がずれるのはこのためであり、どちらかが間違っているわけではなく、見ている切り口が異なるのです。
統計と生活実感がずれる3つの理由
第一に、CPIは平均値のため自分が実際に購入する品目の構成と必ずしも一致しません。第二に、家賃・住宅ローン・奨学金返済など固定費の重さは統計に直接表れにくい部分です。第三に、社会保険料の負担感は毎月の給与明細を通じて可視化されるため、名目賃金が増えても手取りへの影響が実感しにくいケースがあります。こうした複合的な要因が「上がったはずなのに楽にならない」という感覚を生んでいると考えられます。
あなたが今確認すべきポイント——生活と政治の接点を整理する
「自分には関係ない話」と感じる方もいるかもしれません。でも少し立ち止まって、自分の家計と照らし合わせてみると、意外な発見があるかもしれません。
- ☐ 直近1年間で、食費・光熱費・日用品の支出が増えたと実感しているか
- ☐ 給与明細の手取り額が1年前と比べてどう変化したか、また物価上昇を加味した実質的な変化も確認したことがあるか
- ☐ 物価対策として政府が打ち出した補助金や減税策の内容を把握しているか
- ☐ 消費税引き下げの実施時期・対象品目の最新情報を確認しているか(2027年4月・飲食料品限定・2年間の時限措置として報道されているが、正式な法改正は未確定)
- ☐ 世論調査の数字を見る際、調査機関・サンプル数・質問の文言まで確認する習慣があるか
- ☐ 支持・不支持の判断が「イメージ」ではなく「具体的な政策内容と実績」に基づいているか
- ☐ 次の選挙に向けて、自分が重視する政策テーマ(経済・社会保障・安全保障など)を整理できているか
「物価高」を正しく理解するための基本知識
物価上昇率の統計(消費者物価指数)は全体平均であるため、個々の生活品目の値動きとは乖離することがあります。米・チョコレートなど特定品目が大幅に値上がりしても、全体の数字では2%程度に収まる場合があります。「統計の2%」と「財布の感覚」のギャップがあるのは珍しいことではなく、どちらも現実の一側面です。
ガソリン補助金見直しの影響に注意
ガソリン補助金の見直しが進む場合、レギュラーガソリン価格が現在の170円前後からさらに上昇する可能性が報道されています。車通勤・地方在住の方や、物流コストに敏感な中小企業にとっては、夏以降の生活コスト増加として注意が必要です。最新の補助金動向は経済産業省等の公式情報で随時確認してください。
支持率の数字の向こう側にあるもの
18〜29歳の支持率が初めて50%を割り込んだという事実は、単なる政権の「ご祝儀相場の終わり」以上の意味を持ちます。毎月の食費、給与明細、ガソリンスタンドの価格表示——そうした日常の数字が政治評価に直結し始めた、ということでもあります。
若年層の支持率低下が一時的な現象なのか、それとも長期的な評価の変化なのかは、今後の政策運営と経済状況によって左右されるでしょう。物価対策の実効性と、生活実感の改善がどこまで追いつくかが、今後の分岐点になると考えられます。
大切なのは、世論調査の数字を「誰かへの賛否の表れ」としてだけ消費するのではなく、「自分の生活と政治がどこでつながっているか」を考えるきっかけとして活用することではないでしょうか。
- 01総務省の消費者物価指数ページを月1回チェックし、自分が買う品目の値動きと比較してみる
- 02給与明細を半年前・1年前と見比べ、名目の変化と買えるものの変化をセットで確認する
- 03政府・与党が掲げる物価対策の進捗を首相官邸ホームページで定期的に確認する
- 04次の選挙前に、各党の経済・物価政策を比較し「実績ベース」で判断する材料を集めておく
物価高は一夜にして解決できる問題ではありませんが、どんな政策をどのくらいのスピードで実行するかを問い続けることは、あなたにも今日からできることです。支持率の数字は、そのための入口のひとつです。
- ・ 高市早苗内閣の18〜29歳支持率が5月調査(毎日新聞)で45%と初の50%割れ
- ・ 発足時70〜76%(毎日新聞調査)から25〜31ポイント下落(2月61%→5月45%の3カ月では約16ポイント)
- ・ 物価対策への不満が要因の一つとして指摘されている
- ・ 70歳以上も46%と50%を下回り(毎日新聞調査)、不支持率43%と僅差
- ・ 全体支持率(50%)は不支持率(33%)を依然上回っており、政権は安定を維持
- ・ 今後の物価対策の実効性と実施スピードが支持率の分岐点になる
- ・ 消費税引き下げ(2027年4月・飲食料品限定・2年間の時限措置と報道)の正式決定と国会審議の動向
- ・ 消費者物価指数(総務省統計局)・実質賃金(厚生労働省・毎月勤労統計)の推移
- ・ ガソリン補助金見直し後のエネルギー価格動向
- ・ 日銀の金融政策と住宅ローン・借入金利への影響
- ・ 次回世論調査(6月・7月)での若年層・高齢層の動向
- 毎日新聞 全国世論調査(2025年10月・2026年2月・3月・4月・5月実施)|若年層・年代別支持率、物価対策評価に関する数値
- 総務省統計局 消費者物価指数(CPI)|https://www.stat.go.jp/data/cpi/
- 厚生労働省 毎月勤労統計調査(実質賃金の推移)|https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html
- 首相官邸 内閣発足に関する情報|https://www.kantei.go.jp/
※世代別支持率(18〜29歳45%・全体50%・30代53%・40代54%・50代52%・60代56%・70歳以上46%)および物価対策評価(3月調査16%・4月調査25%/38%)は毎日新聞全国世論調査(2026年5月23・24日実施)の報道に基づきます。調査票の文言・集計方法の詳細については毎日新聞社の公表内容をご確認ください。本記事執筆時点(2026年6月)の情報をもとに作成しています。













