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はっさー
こんにちは、はっさーです
社会人から看護師になり今に至ります。楽しみながらブログ奮闘中です!

囲碁から生まれたQRコード開発秘話|原昌宏が特許を無償公開した驚愕の理由

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QRコード生みの親・原昌宏の物語

囲碁から生まれた奇跡

世界を変えた小さな四角形の物語

昼休みの囲碁が、世界中の人々の生活を変えることになるとは、誰が想像できただろうか。

あなたは今日、何回QRコードを目にしましたか。電車の切符、レストランのメニュー、キャッシュレス決済、商品パッケージ。正直に言うと、僕らはもうQRコードのない世界を想像することすらできません。

しかし、この当たり前すぎる技術の背景には、一人のエンジニアの「小さな困りごと」から始まった壮大な物語があります。その主人公が、原昌宏さん。1957年生まれ、現在68歳のこの男性こそが、世界中の人々の生活を根本から変えた「QRコードの生みの親」なのです。

すべては現場の「イライラ」から始まった

1990年代初頭。愛知県にあるデンソーの工場では、自動車部品の管理に深刻な問題を抱えていました。当時の一次元バーコードでは情報量に限界があり、一つの部品箱に複数のバーコードを貼り付け、それらを逐次スキャンする非効率な作業が必要だったのです。

作業員は毎日、大量のバーコードを一つずつスキャンする作業に追われていました。「ピッ、ピッ、ピッ…」と続く単調で疲れる作業。原さんが現場を見た時、作業員の疲労した表情が忘れられなかったと言います。

「これは何とかしなければならない」
原さんの心に火がついた瞬間でした。より多くの情報を、より速く読み取れるコードを作ること。それが彼に与えられた使命となったのです。

運命の昼休み:囲碁盤が教えてくれた答え

開発は困難を極めました。原さんと同僚のわずか2人という小さなチーム。限られた予算と時間の中で、従来のバーコードを遥かに上回る性能を実現しなければなりません。

行き詰まりを感じていたある日の昼休み。原さんは職場で趣味の囲碁を楽しんでいました。白と黒の石が格子状に並ぶ囲碁盤を眺めながら、ふと気づいたのです。

「囲碁の石は多少ずれて置かれても、人間は周りとの相対関係で『ここに置かれた』と分かる。読み取り装置側でそれを補正して読めるようにすれば成り立つのではないか」

– 原昌宏

この瞬間が、世界を変える発明の転換点でした。白と黒の格子パターン、そして三つの角に配置された特殊な「位置検出パターン」。この1:1:3:1:1という白黒比率こそが、QRコードが360度どの角度からでも瞬時に認識される秘密だったのです。

驚異的な性能:バーコードの200倍の情報量

0.03 秒で読み取り完了
200 倍の情報量
30% 隠れても読取可能
7,089 桁の数字を格納

完成したQRコードの性能は驚異的でした。従来のバーコードと比べて読み取り速度は10倍以上、情報量は200倍。さらに汚れや破損に強く、最大30%が隠れていても正確に読み取れる耐久性を実現したのです。

しかし、原さんの真の偉大さは、この革新的な技術を完全にオープンソースにしたことにあります。特許を取得しながらも、それを開放し、世界中の誰もが無料で使えるようにしたのです。

特許開放という英断:なぜ原さんは技術を無料にしたのか

1994年3月14日に特許が出願されました。この技術は間違いなく巨額の富を生む可能性を秘めていました。しかし、原さんは迷うことなくJIS/ISO規格に準拠したQRコードについて、デンソーウェーブは保有特許の権利を行使しない方針を表明しました。

「いち早く普及させるには、特許を開放するのが正解だと思った」と振り返る原さん。この決断こそが、QRコードが今日のような世界的なインフラとなる基盤を築いたのです。

僕はこの判断を聞いて、正直震えました。自分だったら、果たしてこれだけの価値ある技術を無償で世界に提供できるだろうか。原さんの「人類全体の利益」を優先した姿勢に、深い感銘を受けずにはいられません。

30年後の現在:想像を超えた進化と普及

1994年
QRコード誕生。工場での部品管理から始まる
1999年
JIS規格として標準化
2000年
ISO国際規格に認定
2010年代
カメラ付き携帯・スマートフォンの普及とともに一般利用が拡大
2020年
コロナ禍で非接触技術として注目
2025年
日本でのQRコード決済利用率約50%、市場規模10兆円超

2025年現在、QRコードは世界中で広く普及しています。日本のキャッシュレス決済比率は2024年に42.8%(経産省発表)に達し、コード決済の利用拡大が一因とされています。レストランのメニュー表示から医療現場での患者管理、AR・VR技術との融合まで、原さんが想像した範囲を遥かに超えて進化し続けています。

未来への展望:原さんが描く次なる進化

1957年東京都生まれの原さんは、現在もデンソーウェーブの主席技師として現役で研究開発を続けています。さらに福井大学客員教授、名古屋学院大学特任教授として後進の指導にも当たっています。

「今は白黒しかないので、QRコードに色を付ける。1秒間に10個くらい、違うQRコードを表示することによって情報量を稼げる」と語る原さん。QRコードの進化は、まだまだ始まったばかりなのです。

MicroQR、iQR、SQRC、Frame QRなど、用途に応じた派生技術も続々と登場。医療情報の安全な管理、高度なセキュリティ機能、デザイン性の向上など、社会のニーズに応じて柔軟に進化しています。

数々の栄誉:世界が認めた功績

原さんの功績は国内外で高く評価されています。2014年には欧州発明家賞Popular Prizeを受賞。2020年にはQRコードがIEEEマイルストーンに認定され、電気・電子分野における歴史的偉業として永続的に記録されました。

そして2023年、日本学士院賞・恩賜賞という日本最高峰の学術賞を受賞。天皇陛下ご臨席の授賞式で、陛下から「QRコードは使っている」というお言葉をいただいたエピソードも印象深いものです。

一人のエンジニアが変えた世界

原昌宏さんの物語は、技術開発の素晴らしさを象徴しています。現場の小さな困りごとに気づき、創意工夫で解決策を見つけ、そしてその成果を惜しみなく世界と共有する。この姿勢こそが、真のイノベーションを生み出す原動力なのかもしれません。

昼休みの囲碁から生まれた小さなアイデアが、30年後には27億人の生活を支える巨大なインフラになる。原さんの物語は、私たちに「どんな小さな発見も、世界を変える可能性を秘めている」ということを教えてくれます。

明日QRコードを見かけたら、ぜひ原昌宏さんのことを思い出してください。そして、あなた自身の日常の中にも、世界を変える可能性が眠っていることを信じて欲しいのです。

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