水原一平ドラマ、Starzで配信決定
国際弁護士が語る「大谷翔平の訴訟が困難とされる理由」
2024年5月に発表されたドラマ化企画が、配信局決定・新監督参加で本格始動。一般的な法的見解では、制作差し止めは困難とされる傾向にある——その理由を検証します。
ドラマ化企画が「新フェーズ」へ
米大手芸能メディア「DEADLINE」は2025年12月10日(現地時間9日)、ドジャース・大谷翔平の元通訳である水原一平受刑者のギャンブルスキャンダルを題材としたドラマシリーズについて、配信局が「Starz」に正式決定したと報じた。(出典:DEADLINE 2025年12月10日)
ドラマ化の経緯
- 2024年5月:水原被告(当時)が罪を認めた直後、ライオンズゲートがドラマ化企画を発表。スコット・デルマン、アルバート・チェンが製作総指揮として参加を表明
- 2025年12月:配信局がStarz(ライオンズゲート傘下)に正式決定。ジャスティン・リン監督、アレックス・コンヴェリー脚本の新体制で制作本格始動
新たにメガホンを取るのは、世界的大ヒットシリーズ『ワイルド・スピード』を手がけたジャスティン・リン監督。監督・共同脚本・エグゼクティブプロデューサーを兼任する。また、マイケル・ジョーダンとナイキの関係を描いた映画『AIR/エア』の脚本家アレックス・コンヴェリーが製作総指揮とショーランナーを務め、リン監督と共同で脚本も執筆する。(出典:海外ドラマNAVI)
なお、キャストおよび配信時期は現時点で未発表だ。
事件データ
- 不正送金総額約1,600〜1,700万ドル(約24〜26億円)
- 賭け総額報道により数値にばらつきあり ※
- 借金総額報道により数値にばらつきあり ※
- 確定刑期禁錮4年9ヶ月
- 収監2025年以降、連邦刑務所へ収監と報道 ※
※数値について:不正送金総額(約1,600〜1,700万ドル)はAFPBB News等の複数報道で確認。賭け総額・借金総額については、司法省の公式文書での詳細公表がなく、報道ベースの数値にはばらつきがあります。
※為替レート:2025年12月時点(1ドル≒150円前後)で換算。為替変動により円換算額は変動します。
※刑期について:女性自身等の複数報道で確認。
※収監について:施設・収監開始時期は報道ベースの情報であり、確定情報ではありません。
事実確認:大谷翔平選手の関与について
複数の信頼できる報道および捜査当局の見解によれば、大谷翔平選手自身が賭博や不正送金に関与したという証拠はなく、本件において被害者として扱われています。
出典:TMZ、その他複数の米国メディア報道
国際弁護士が語る「法的見解」
2025年12月14日放送のTBS系「サンデージャポン」に出演した国際弁護士の湯浅卓氏が、このドラマ化を巡る法的な見解を述べた。
「一平受刑者の腕利きのアメリカ人弁護士がいるんですけど、彼の別の依頼者が実はこのプロジェクトを握っているライオンズゲートに巨大な影響力を持ってきたんですよ」
出典:TBS「サンデージャポン」(2025年12月14日放送)湯浅卓氏コメント
湯浅氏の推測によれば、水原サイドは制作会社との間に何らかの接点を持っている可能性があるという。「ライオンズゲート側が一平受刑者の弁護士に話を通さないというのは、ハリウッドの常識的にはまず考えられない」と同氏は述べた。
では、大谷翔平は制作を止められるのか?
湯浅氏の見解では「訴訟は非常にしにくい」とのことだ。
法的背景:一般的な見解では制作差し止めは困難とされる傾向
【表現の自由 vs パブリシティ権】
米国憲法修正第1条が保障する「表現の自由」は強力な権利です。著名人には「パブリシティ権」(氏名や肖像を独占的に利用する権利)がありますが、一般的な法的見解では、実録ドラマや伝記映画は「公共の関心事(Public Interest)」または「変形的利用(Transformative Use)」として、パブリシティ権よりも表現の自由が優先される傾向があるとされています。
【名誉毀損訴訟の可能性】
ただし、事実に反する悪意ある描写が含まれる場合は、名誉毀損(Defamation)での訴訟が検討される可能性は残ります。大谷選手は本件において「被害者」として結論が出ているため、制作側も不当に貶める描写は避けると見られています。
【注意】上記は一般的な法理論に基づく解説であり、個別ケースの法的判断を示すものではありません。
「サムの息子法」—— 水原受刑者は利益を得られるのか?
湯浅氏が示唆した「水原サイドと制作会社のパイプライン」について、もう一つ重要な法的視点がある。
「サムの息子法(Son of Sam Laws)」とは
米国には、犯罪者が自身の犯罪に関する創作物(書籍、映画、ドラマなど)から利益を得ることを制限する法律が存在します。ニューヨーク州で1977年に制定された通称「サムの息子法」に端を発し、多くの州で類似の法律が施行されています。
【重要な注意点】
サムの息子法は州法ベースであり、連邦法として全国統一の規制があるわけではありません。具体的にどの州でどのような適用があるかはケースバイケースで異なります。
【実際の適用可能性】
仮に水原受刑者に原作料や肖像権使用料が支払われる契約があったとしても、州法の適用次第では、その収益が被害者への損害賠償に充当される、または没収される可能性があります。ただし、これは一般論であり、本件への具体的適用については不明です。
つまり、たとえ水原サイドが制作に関与していたとしても、受刑者本人が直接的な経済的利益を享受できるかどうかは、適用される法律によって異なる。
報道が伝える家族の苦悩
このドラマ化報道の陰で、改めて注目されているのが、水原受刑者の家族に関する報道だ。週刊誌「SmartFLASH」は、裁判所に提出された減刑嘆願書の内容を報じている。
同報道によれば、2018年に結婚した妻は、ビザの問題で長期間日米を行き来する生活を強いられ、精神的・身体的な困難を経験したとされる。
在米ジャーナリストは「ドラマ化によって、再び世界中にプライベートが報じられることになる」と、関係者への影響を指摘している。
ネットの反応と「大谷役」問題
今回の報道を受け、日本のSNS上では様々な声が上がっている。
「大谷翔平より先に水原一平を映画化するの、あまりにも罪深すぎる」「現役引退してからにして」「大谷さんのメンタルに影響を及ぼさないか心配」という批判がある一方、「正直楽しみすぎる」「おもしろい予感しかない」と公開を期待する声も見られる。
また、ワイスピ監督の起用に対しては「カーチェイスあるのか」というジョークも飛び交っている。
そして最も議論されているのが「大谷翔平役は誰が演じるのか」という問題だ。「誰も無理でしょ…」「想像できない」という声が大半を占めている。
大谷翔平の描写——想定される制作手法
①俳優起用:体格・雰囲気の近い日系俳優をキャスティング
②アーカイブ映像:実際の試合映像をMLBからライセンス取得して使用
③CGI・AI技術:ディープフェイク技術による再現
④間接的描写:後ろ姿やボカシで「存在」のみを描き、水原氏の視点に徹する
ドラマの主人公が水原受刑者である以上、大谷選手を詳細に描く必然性は低い可能性もある。
WBC連覇・WS3連覇への影響は
大谷翔平は現在、2026年WBC連覇とワールドシリーズ3連覇を目指している。このドラマ化が彼のパフォーマンスに影響を及ぼさないか、ファンの間では心配の声も上がっている。
一般的な法的見解では、大谷サイドが制作を差し止める手段は限られているとされる。一方で、大谷選手が「被害者」であることは明確であり、制作側もMLBとの関係を考慮すれば、不当な描写は商業的リスクを伴うだろう。
話題になることは間違いないこのドラマ。制作陣には、事実に基づいた誠実な描写と、関係者への適切な配慮が求められている。
参考・出典一覧
- DEADLINE「Shohei Ohtani Gambling Scandal Series From ‘Fast & Furious’ Director Justin Lin Set At Starz」(2025年12月10日)
https://deadline.com/ - 海外ドラマNAVIドラマ化詳細報道
https://dramanavi.net/ - TBS「サンデージャポン」湯浅卓氏コメント(2025年12月14日放送)
- SmartFLASH「水原一平受刑者、ドラマ化の陰で注目集める妻の悲壮な思い」(2025年12月11日)
- AFPBB News水原一平事件・不正送金額に関する報道
https://www.afpbb.com/ - 女性自身量刑・収監に関する報道
https://jisin.jp/ - TMZ大谷翔平選手の関与否定に関する報道
https://www.tmz.com/
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