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はっさー
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売上1800万円が一瞬で消失|舘山寺温泉の事例に見るインバウンドの脆弱性

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【舘山寺温泉】中国団体客キャンセルで休館に – インバウンド依存のリスクと対策

中国団体客の予約が消えた舘山寺温泉の事例

2025年11月中旬、中国政府(外交部および在外公館)は、在留中国人や渡航予定者に対し、事実上、団体旅行の取り扱いを控えるよう求める内容を含む注意喚起を発表しました。これを受けて、静岡県浜松市・舘山寺温泉で中国からの団体客を主に受け入れてきた一部の宿泊施設が、12月の団体予約(90件、約3000人)を失い、休館に追い込まれたと報じられています。

この事例は、特定の顧客層に依存するインバウンド特化経営のリスクを端的に示しています。本記事では、報道や公的統計をもとに、何が起きたのか、そして宿泊業に限らず応用できるリスク分散の考え方を整理します。

本稿は毎日新聞(2025年12月12日付)の取材報道およびJNTO訪日外客統計(発表日:2025年11月18日)を基に作成しました。数字は各出典の最新版を引用しています(最終検証日:2025年12月13日)。

初回公開日:2025年12月13日 / 最終検証日:2025年12月13日

ご注意:日中関係と観光業への影響は変動する可能性があります

本記事の情報は2025年12月時点のものです。外交関係や渡航自粛の状況は今後変化する可能性があります。最新情報は外務省や観光庁の公式発表をご確認ください。

8,203,100人 2025年1-10月の訪日中国人数(累計) 出典:JNTO 訪日外客統計(発表日:2025-11-18)
最終確認日:2025-12-13
約86% 訪日中国人のうち個人旅行者の割合 出典:観光庁 消費動向調査(2024年10-12月期)
※ツアー利用率約14%
1,800万円超 報道された12月の売上損失額 出典:毎日新聞 2025/12/12
最終確認日:2025-12-13

何が起きたのか:時系列で整理

2025年11月7日、高市早苗首相は国会答弁(衆議院予算委員会)で台湾有事について言及し、「存立危機事態になり得るケース」との認識を示しました。この発言に中国政府が強く反発。11月14日、中国外交部は在外公館を通じて、自国民に対し日本への渡航を当面控えるよう注意喚起を発出しました(出典:中国外交部/新華社配信 2025-11-14、Bloomberg 2025-11-14)。これは公式な「渡航禁止」ではなく、口頭での指導や注意喚起という形を取っています。

舘山寺温泉の一部宿泊施設で起きたこと

毎日新聞(2025年12月12日付)の報道によると、渡航自粛の発表から数日後、旅行代理店からキャンセルの連絡が相次ぎました。12月の団体予約90件、約3000人分がすべてキャンセルとなり、当該宿泊施設は2025年12月から休館を余儀なくされました。パート従業員14名全員が休業状態となっています。(※施設名は報道では明示されていますが、本記事では匿名としています)

総支配人は取材に対し、「コロナ禍を経て、ようやく軌道に乗り始めたのに」と語っています。コロナ禍時にあった大規模な国の補助とは性質が異なるため、即時の全国的補償が出る見込みは乏しい状況です。ただし、自治体や業界団体の支援策が今後出る可能性はあるため、各地の発表を随時確認することが重要です。「タイやベトナムからのインバウンド客を」と営業をかけているものの、簡単には切り替えられない状況だと報じられています。

なぜ「中国団体客特化」はリスクが高いのか

ここで重要なのは、観光庁の調査ではツアー(団体)利用率は約14%前後であり、個人旅行(FIT)が多数を占めるという事実です(出典:観光庁「インバウンド消費動向調査」2024年10-12月期、最終確認:2025-12-13)。つまり、今回大きな打撃を受けたのは、その「少数派である団体客」だけを相手にしてきた一部の宿泊施設なのです。宿泊業界全体が大打撃を受けているわけではありません。

「モノカルチャー経済」という教訓

高校の地理で習った「モノカルチャー経済」を覚えていますか。特定の作物や資源だけに依存する経済構造は、その市場が崩れたときに一気に立ち行かなくなります。これは宿泊業でも同じことが言えます。

一般的な経営指標として「売上の3割以上を一つの取引先に依存している場合は注意が必要」とされています(編集部注:中小企業経営の教科書等で広く言及される目安)。依存度が高いほど、交渉力も弱くなり、万が一のときのリスク(カウンターパーティリスク)も大きくなるからです。

中国の「経済的威圧」は過去にも前例あり

中国政府が政治的理由で渡航制限や貿易制限をかけるのは、今回が初めてではありません。2017年の韓国へのTHAAD配備問題では、中国人訪韓客数が約40%減少したとされています(出典:AFP/Reuters等の報道)。オーストラリアとの関係悪化時のワイン輸入制限など、前例は数多くあります。こうしたリスクを織り込んだ経営判断が求められます。

インバウンド特化経営のメリットとデメリット

特定の顧客層に特化することには、当然ながら良い面と悪い面の両方があります。特化戦略自体は一概に否定されるものではなく、リスク管理が前提であれば有効な戦略にもなり得ます。

特化経営のメリット

  • 言語やサービスを絞り込めるため効率的
  • リピーターを獲得しやすい
  • 特定の旅行代理店との関係を深められる
  • 口コミで同じ国籍の客を呼び込みやすい
  • ニッチ特化で高単価を実現できる場合も

特化経営のデメリット

  • 政治情勢の変化で一気に客足が途絶える
  • 為替変動の影響を受けやすい
  • 他の顧客層への切り替えが難しい
  • 一国依存は交渉力の低下につながる
  • 固定費の支払いが少数の取引先に依存

顧客分散の考え方:リスクヘッジの基本

では、どのように顧客を分散させればよいのでしょうか。以下は一つの目安です。

顧客カテゴリ参考割合特徴主なリスク要因
国内客(個人)30-40%安定した需要景気変動
国内客(団体)10-20%まとまった予約人口減少
インバウンド(複数国)30-40%成長市場政治・為替
ビジネス利用10-20%平日需要リモートワーク

※上記は編集部による参考案であり、立地や施設の特性によって最適な比率は異なります。

重要なのは、どれか一つの顧客層や取引先に3割以上依存しないという意識を持つことです。また、インバウンドを取り込む場合も、政治的リスクの相関が低い複数の国・地域(例:欧米豪と東南アジア)に分散させることが有効です。

世間の声:報道への反応から見えること

この報道に対して、SNSやニュースサイトには様々な意見が寄せられています。

SNS・ニュースサイトの反応(編集部要約)

「どんな小さな商売にもリスクはある。特定の顧客に100%依存するなら、万が一のときを経営陣が考えておくべきだった」

「このホテルだけが繰り返し報道されるということは、深刻な打撃を受けている宿泊施設は全国でも限られているのでは」

「従業員の方は大変だろう。経営判断と現場で働く人々への影響は、分けて考える必要がある」

厳しい意見が多い一方で、従業員への同情の声もあります。なお、ジャーナリストの中島恵氏は「中国人団体客を受け入れる宿は、他の客との鉢合わせを避けるため結局中国人ばかりになる傾向がある。その分リスクも大きい」と指摘しています。

専門家の見解:経済への影響は限定的との分析

エコノミストの門倉貴史氏は「日本経済全体で考えれば、渡航自粛が与えるマイナスの影響は軽微なものにとどまる」と指摘しています(出典:Yahoo!ニュース コメント欄 2025年12月12日)。オーバーツーリズムの解消や、宿泊料金の低下により国内旅行需要が増える可能性も示唆。ただし「中長期的には、インバウンドの脱中国依存を急ぐべき」との見解も示しています。また、ジャーナリストの中島恵氏は「中国人団体客を受け入れる宿は、他の客との鉢合わせを避けるため結局中国人ばかりになる傾向がある。その分リスクも大きい」と分析しています。

今すぐ確認したいリスク分散チェックリスト

宿泊業に限らず、どんなビジネスでも応用できる考え方です。

経営リスク分散の確認項目

  • 売上の3割以上を占める取引先や顧客層がないか確認する
  • 特定の国や地域だけに依存していないか見直す
  • 政治情勢や為替の変動リスクを想定しているか
  • 代替の販路や顧客獲得ルート(D2C・自社予約サイトなど)を準備しているか
  • 売上ゼロでも6-12ヶ月は持ちこたえられるキャッシュ・ランウェイがあるか
  • 「経営セーフティ共済」や「雇用調整助成金」などの制度を把握しているか
  • 従業員を複数業務に対応できる多能工として育成しているか
  • インバウンド回復期に締結した契約(キャンセル規定)を見直したか
  • 予約金(デポジット)制度の導入を検討しているか

まとめ:リスクを分散し、変化に強い経営を

舘山寺温泉の事例は、特定の顧客層に依存することのリスクを改めて浮き彫りにしました。訪日中国人の大多数は個人旅行者であり、今回影響を受けたのは団体客に特化した一部の施設です。宿泊業界全体が大打撃を受けているわけではありません。

しかし、「明日は我が身」という意識を持ち、顧客の分散、販路の多様化(D2C・多言語対応)、緊急時の備えを日頃から意識しておくことが大切です。キャンセル規定の見直しや予約金(デポジット)制度の導入も検討すべきでしょう。

円安やインバウンド需要の高まりは追い風ですが、風向きはいつ変わるかわかりません。変化に柔軟に対応できる体制づくりこそが、長く愛される宿の条件なのかもしれません。全国的な一律補償は期待しにくい状況ですが、自治体や業界団体の支援策はあり得ますので、各地の最新情報をご確認ください。

参考資料・出典(全て2025年12月13日に最終確認)

※本記事の内容に誤りがあった場合は、出典に基づき訂正いたします。お気づきの点がございましたら編集部までご連絡ください。

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