【2025年最新】なぜ直葬が増えているのか?
費用・流れ・後悔リスクまで完全ガイド
都市部を中心に直葬(火葬式)が拡大しています。費用・手間を抑えられる一方、菩提寺や納骨の運用、家族合意を欠くと後悔につながることも。この記事では、最新データと実務チェックリストで「失敗しない直葬」の準備を解説します。
近年、通夜や告別式を行わず火葬のみで故人を送る「直葬」が急速に広がっています。都市部の一部推計では直葬が全体の2割前後に達するとの見方もあり[1]、4~5人に1人が選択する時代となりました。なお、地域差が大きい点にご留意ください。
重要なポイント
直葬は近年急速に認知度が高まっており、都市部では葬儀全体の2割前後を占めるとの推計もあります[1]。調査によると、直葬を経験した遺族の満足度は高い傾向にある[2]一方、後悔する声も一定割合存在します。事前の準備と家族との話し合いが重要です。
直葬とは?基本的な理解
・通夜・告別式を省略し火葬のみを行う形式
・法律で死後24時間以内の火葬は禁止(最低1日の安置が必要)
・所要時間は約3時間、7つのステップで完了
直葬とは、通夜や告別式といった従来の葬儀儀式を省略し、火葬のみを行う葬送形式のことです。火葬式とも呼ばれ、家族や親族など身内だけが集まって、シンプルに故人を送る方法として注目を集めています。
直葬の基本的な流れ(7ステップ)
直葬は以下のステップで進められます。一般的な葬儀と比べて、時間と手続きが大幅に簡素化されていますが、必要な書類手続きは確実に行う必要があります。
死体検案書の受領
遺体搬送
(自宅または施設)
(役所へ届出)
(遺体を棺に納める)
(選択肢から選定)
法律(墓地、埋葬等に関する法律第3条。感染症等の例外あり)[3]により、死亡後24時間以内の火葬は禁止されています。このため少なくとも1日は安置が必要です。安置場所は自宅や葬儀社の安置施設などから選べます。所要時間は全体で約3時間程度です。
直葬の特徴
- 通夜や告別式を行わず、火葬のみを実施
- 宗教儀礼や祭壇は必要なく、費用を抑えることが可能
- 参列者は基本的に家族や親族など少数
- 喪服に準じた服装で参列するのが一般的
- 火葬まで遺体を安置する場所が必要(自宅または葬儀社の安置施設)
直葬と一日葬の違い
直葬と混同されやすいのが「一日葬」です。両者の違いを理解しておくことで、適切な選択ができます。
| 項目 | 直葬(火葬式) | 一日葬 |
|---|---|---|
| 通夜 | なし | なし |
| 告別式 | なし | あり |
| 宗教儀式 | 基本的になし (希望があれば可能) | あり (読経・焼香など) |
| 参列者 | ごく近しい親族のみ | 家族・親しい知人 |
| 所要時間 | 約3時間 | 半日程度 |
| 費用目安 | 10〜40万円程度 | 40〜80万円程度 |
なぜ今、直葬が選ばれているのか
・費用を抑えるため(選択理由の約35%)
・「迷惑をかけたくない」という配慮から
・高齢化・非婚化など社会的背景の変化
葬儀に関するアンケート調査では、自らの葬儀に直葬を希望すると答えた人は約2割[1]に達しています。一方、過去に身内などで直葬を経験した人は数パーセントしかおらず、注目度が急速に上がっていることが分かります。
選択理由のデータ分析
直葬を行った人を対象にした調査(直葬経験者512人対象のアンケート)[2]によると、選んだ理由は以下のように分布しています。
費用面での実態
同調査[2]における直葬の実際の費用分布は以下の通りです。
直葬にかかった費用の分布[2]
- 10〜20万円未満:約28%(最も多い価格帯)
- 20〜30万円未満:約20%
- 30〜40万円未満:約14%
- 60万円以上:15%(オプション追加などにより高額化)
一般的な葬儀では100万円以上かかることも珍しくありませんが、直葬では10万円台から実施可能[2]です。ただし、式場使用料や僧侶へのお布施などのオプションを追加すると、60万円以上になるケースもあるため、事前の見積もり確認が重要です。
社会的背景
直葬が増加している背景には、複数の社会的要因があります。
直葬増加の社会的要因
高齢化の進行:高齢者が増加し、交友関係が限られる人が増えています。菩提寺との関係が薄いケースも増加傾向にあります。
晩婚化・非婚化:独りで最期を迎える人が増えており、身元保証サービスを利用する人も増加しています。
価値観の変化:コロナ禍を経て葬儀のあり方が変化し、形式にこだわらない簡素な葬送を選ぶ人が増えています。
経済的理由:将来への不安から、葬儀費用を抑えたいという需要が高まっています。
直葬のメリット・デメリット徹底比較
・費用は10〜40万円が目安/追加で高額化も
・満足度約80%、後悔約20%(事前準備が分かれ目)
・デメリットには必ず対処法あり(後日法要・事前相談など)
直葬を検討する際は、メリットだけでなくデメリットも十分に理解した上で判断することが大切です。
メリット
- 費用を大幅に抑えられる(10〜40万円程度が一般的)
- 準備や手続きの負担が軽い(時間は約3時間程度)
- 遺族の精神的・肉体的負担が少ない
- 参列者への対応や気遣いが不要
- シンプルで故人との時間をゆっくり持てる
- 宗教的な儀式にこだわらなくてよい
- 短時間で完了するため高齢者や遠方の親族の負担が少ない
デメリット
- 親族や知人が別れを惜しむ機会が限られる
→ 対処法:後日、四十九日法要やお別れ会の日程を確保 - 後から後悔する可能性がある(約20%[2]が後悔)
→ 対処法:事前に家族全員で十分に話し合い、合意形成を - 菩提寺との関係がある場合、納骨を断られることがある
→ 対処法:事前に菩提寺へ相談/永代供養・納骨堂の代替案を検討[4] - 社会的なつながりを重視する人には不向き
→ 対処法:一日葬など他の選択肢も比較検討 - 故人の意向が不明な場合、親族間でトラブルになる可能性
→ 対処法:エンディングノートで意向を明文化 - 事前準備が不十分だと想定外の費用がかかることがある
→ 対処法:見積りの内訳確認&追加料金条件を文書で取得 - 葬儀という区切りがないため、喪失感の処理が難しい場合がある
→ 対処法:後日の法要やお別れの時間を設ける
満足度のデータ
直葬を経験した遺族の満足度は高い傾向が報告されています[2]。複数の調査で「満足」と回答する割合が高い一方、「後悔した」という声も一定割合存在します。具体的な数値は調査により差があるため、最新の信頼できる調査結果を参照することをおすすめします。
参考:直葬経験者調査(512人対象)の結果[2]
- 満足している(「満足」「やや満足」の合計):約8割
- 後悔している(「やや後悔」「大変後悔」の合計):約2割
※本調査は葬儀紹介サイト利用者を対象としたサンプル調査であり、全国的な代表性には限界があります。
満足度の高い人たちに共通しているのは、事前の準備がしっかりできていたこと、家族で十分に話し合えたこと、適切な納骨先を確保できていたことです。
直葬で後悔しないための事前確認チェックリスト
・後悔回避の鍵は「家族合意・納骨先・見積内訳」の3点
・必要書類:死亡診断書、火葬許可証、斎場予約確認書
・費用の落とし穴:距離課金、ドライアイス、安置室日額など
調査によると、直葬は事前に内容を調べておかないと、後にトラブルになるケースがあります。以下の項目を必ず事前に確認しておきましょう。
必須確認項目
- 必要書類の準備:死亡診断書(死体検案書)、火葬許可証、斎場予約確認書など。役所への届出期限も確認
- 葬儀社との契約内容を細部まで確認:料金体系、サービス内容、火葬場の手配、追加料金の可能性など、不明点は必ず質問して納得してから契約すること
- 費用の落とし穴を確認:搬送料の距離課金、ドライアイスの日数、安置室日額料金(多くの格安プランは安置1日分のみを含み、2日目以降は1日あたり1万円〜2万円程度の追加費用が発生する可能性)、深夜早朝の割増料金など、隠れコストを事前に把握
- 納骨先の事前確保:火葬後の遺骨保管場所をあらかじめ決めておく。自宅、寺院の納骨堂、墓地などが一般的だが、賃貸物件の規約で制限がある場合も確認が必要
- 家族・親族との徹底的な話し合い:直葬を選ぶ理由や方法について、家族間で十分に話し合い、理解と納得を得ておくことが最も重要
- エンディングノートへの明確な記載:自身の葬儀に対する希望、連絡先、納骨先、使用する葬儀社などを書き残し、遺族が判断しやすいようにする
- 菩提寺との関係確認:先祖代々の墓がある場合、直葬では納骨を断られる可能性があるため、事前に相談しておく[4]
- 緊急連絡先と手続きの整理:万一の際にどこに連絡すべきか、必要な手続きを事前に把握し整理しておく
葬儀社選びのポイント
直葬を取り扱う葬儀社は増えていますが、サービス内容や料金体系は業者によって大きく異なります。以下のポイントを押さえて選びましょう。
| 確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 基本料金 | 何が含まれているか明細を確認。搬送費、安置費用、棺代、火葬料など |
| 追加料金 | どのような場合に追加費用が発生するか事前に確認 |
| 安置施設 | 自社施設があるか、清潔で安心できる環境か |
| 対応エリア | 24時間対応か、自宅からの距離は適切か |
| 実績と評判 | 口コミや評価を確認、長年の実績があるか |
直葬を選んだ後の流れと注意点
直葬を決めた後も、いくつかの重要な手続きや配慮が必要です。特に納骨については、事前に計画を立てておくことが推奨されます。
納骨先の選択肢
火葬後の遺骨をどうするかは、事前に明確に決めておくべき最重要事項です。
納骨先の主な選択肢
- 自宅での保管:四十九日法要や一周忌まで自宅に安置。賃貸物件の場合は規約を確認する必要がある
- 墓地への納骨:先祖代々の墓がある場合。直葬だと納骨を断られる可能性もあるため、事前に菩提寺に相談
- 納骨堂の利用:永代供養を含めた納骨堂を契約。比較的費用を抑えられる選択肢
- 散骨や樹木葬:自然に還る形を希望する場合。自治体の条例や法律を確認する必要がある
法要について
直葬では通夜や告別式を行わないため、親族や知人が故人と別れを惜しむ機会が限られます。そのため、後日改めて法要を行うことで、関係者が集まり故人を偲ぶ場を設けるケースが増えています。
四十九日法要や一周忌などのタイミングで、親族が集まって食事会を開いたり、思い出を語り合ったりすることで、満足感を得られることが多いとされています。
ケース別:直葬が向いている人
直葬が適しているかどうかは、個人の状況や価値観によって異なります。以下のケースに当てはまる人は、直葬を前向きに検討する価値があるでしょう。
直葬を検討すべきケース
経済的な理由:葬儀費用を最小限に抑え、その分を他のことに使いたいと考えている方。子どもや家族に金銭的負担をかけたくない方。
形式を重視しない価値観:宗教的な儀式や社会的な体裁よりも、シンプルで心のこもった送り方を重視する方。
交友関係が限られている:高齢で友人や知人が少なくなっている方。参列者が家族や親族のみで十分と考える方。
故人の明確な意向:生前に本人が直葬を希望していた場合。エンディングノートなどに記載がある場合。
遺族が少ない:葬儀の準備や運営を担う遺族が少なく、負担を軽減したい場合。
慎重に検討すべきケース
先祖代々の墓があり菩提寺との関係が深い場合、故人の交友関係が広く多くの人が別れを惜しみたい場合、親族の中に直葬に強く反対する人がいる場合、故人の意向が明確でなく遺族間で意見が分かれている場合などは、家族や親族、そして菩提寺とよく相談した上で決定することが重要です。
直葬のよくある質問(FAQ)
直葬の費用相場は?
地域や火葬場、オプションで異なりますが概ね10〜40万円が目安です[2]。最も多い価格帯は10〜20万円未満(約28%)で、次いで20〜30万円未満(約20%)となっています。ただし、オプション追加で60万円以上になるケースもあるため、見積りの内訳を必ず確認しましょう。
直葬でも僧侶には読経をお願いできる?
可能です。直葬は宗教儀式を省略する形式ですが、希望があれば僧侶にお経をお願いすることもできます。お布施や読経の有無、戒名の要否などは事前に葬儀社と調整しましょう。
菩提寺に納骨を断られることはある?
あります。通夜や告別式を行わない直葬の場合、菩提寺によっては納骨を断られることがあります[4]。先祖代々の墓がある場合は、直葬の可否や戒名の有無などについて、必ず事前に菩提寺へ相談することが安全です。断られた場合は、永代供養や納骨堂などの代替案を検討します。
後悔しないための鍵は?
調査によると、直葬に満足している人に共通する要素は①家族全員の合意、②納骨先の確保、③見積内訳の確認の3点です[2]。特に家族間での十分な話し合いと、事前の準備が後悔を防ぐ最大のポイントとなります。満足度は個別の状況により異なるため、これらの要素を必ず確認してください。
まとめ:自分らしい葬送を選ぶために
直葬は、費用を抑えシンプルに故人を送る新しい葬送の形として、急速に広がっています。都市部では既に葬儀全体の2割前後を占めるとの推計もあり[1]、これからさらに増加していくことが予想されます。
調査データによると、直葬を経験した遺族の満足度は高い傾向にある一方で、後悔する声も一定割合存在します[2]。満足度の違いを生む要因は、事前の準備の有無、家族との話し合いの十分さ、納骨先の確保といった点にあります。
大切なのは、費用面だけで判断するのではなく、故人の意向と遺族の気持ちに寄り添った選択をすることです。家族でしっかりと話し合い、納得できる形を見つけることが何より重要です。
今日からできる3つのアクション
① 家族と葬儀について話し合う
タブー視せず、元気なうちに自分の希望を家族に伝え、家族の意見も聞きましょう。
② エンディングノートを作成する
葬儀の希望、連絡先リスト、納骨先の希望などを書き留めておきましょう。
③ 複数の葬儀社から情報収集する
いざという時に慌てないよう、事前に資料を取り寄せて比較検討しましょう。
あなたと家族が納得できる、心に残る葬送を実現してください。
参考・出典
- [1] 京都新聞「『迷惑かけたくない』葬儀せず火葬のみの『直葬』が急増 費用や手間…『家族が満足できれば』」2025年11月9日配信(Yahoo!ニュースでも配信)。京都新聞による葬儀に関するアンケート調査(2025年春実施)より、自らの葬儀に直葬を希望する人が約2割に達するというデータ。都市部での直葬実施割合が2割前後との業界推計も複数の報道・解説で整合が見られる。
- [2] 葬儀会社の紹介サイト「葬儀の口コミ」による直葬経験者調査(2024年秋実施、有効回答数512人、調査対象:過去2年以内に直葬を実施した遺族、オンラインアンケート形式)。選択理由では「費用を抑えるため」が約35%で最多回答。費用分布は10〜20万円未満が約28%、20〜30万円未満が約20%、30〜40万円未満が約14%、60万円以上が15%。満足度については「満足」「やや満足」の合計が約8割、「やや後悔」「大変後悔」の合計が約2割。※本調査は葬儀紹介サイト利用者を対象としたサンプル調査であり、全国的な代表性には限界がある点に留意。
- [3] 墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第3条:「埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。」感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第30条等により、特定感染症の場合は24時間以内の火葬が認められる例外規定あり。e-Gov法令検索より参照可能。
- [4] 菩提寺との関係における直葬の取り扱い、宗派ごとの納骨慣習に関する実務事例。各宗派の教義や慣習により、通夜・告別式を行わない直葬の場合に納骨を断るケースがある。事前相談により回避可能。全日本仏教会、各宗派本山(曹洞宗・浄土真宗・真言宗等)の公式見解・檀信徒向けガイドライン、および葬儀業界団体(全日本葬祭業協同組合連合会等)の実務資料を参考。
免責事項:本記事の情報は2025年11月時点のものです。葬儀費用や制度は地域・業者によって異なります。実際の手続きや費用については、必ず葬儀社や関係機関に直接ご確認ください。
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