ChatGPTの「グループチャット」って本当に使えるの?実用性を冷静に検証してみた
「また新しい機能が追加されたけど、正直これって必要なの?」そう思った方も多いはずです。2025年11月13日から、OpenAIはChatGPTに「グループチャット」機能の試験運用を開始しました。日本を含む一部地域で無料版ユーザーも利用可能となっています。最大20人まで参加可能で、みんなでAIと会話できるという触れ込みですが、実際のところ使い道はあるのでしょうか。
この記事では、OpenAIの公式情報と実際の利用レポートを踏まえながら、現実的な活用シーンと潜在的な問題点を整理していきます。
最大20人
1つのグループに参加できる人数の上限
全プラン
無料版から有料版まで全てのユーザーが対象
11月13日
日本での試験運用が開始された日付(2025年)
そもそも「グループチャット」って何ができるの?
基本的な仕組み
グループチャット機能を使うと、複数の人が同じチャット空間でChatGPTと対話できます。操作は簡単で、アプリ右上の人型アイコンをタップして「Group chat」ボタンを押すだけ。招待リンクを送れば、友人や同僚を最大20人まで追加可能です。
重要なのは、参加者同士の会話はChatGPTのリクエスト制限にカウントされない点です。AIが実際に応答した分だけが制限対象になるため、人間同士で議論しながらChatGPTに意見を求める、という使い方が想定されています。ただし、@ChatGPTと明示的に呼びかけなくても、会話の流れによってはAIが自動的に応答する場合もあります。
使用されるAIモデルと技術仕様
グループチャットではGPT-5.1 Autoというモデルが使用されます。これは参加者のプランやプロンプトの内容に応じて、AIが最適なモデル(InstantやThinking)を自動で選択・応答する仕組みで、OpenAIはこの機能のために「グループ会話向けの振る舞い」を学習させています。具体的には、会話の流れを読みながら発言のタイミングを調整し、状況に応じて黙って聞いたり、必要なときだけ介入したりできます。
また、新たなユーザーを既存のグループチャットに招待すると、会話のコピーが新規作成される仕様になっています。これはコンテキスト(会話の流れ)を管理するための設計です。初回参加時には名前やプロフィールの登録を求められ、画面表示は他メンバーの発言が左側、自分の発言が右側に表示される一般的なチャットアプリのレイアウトになっています。
プライバシー面での配慮
OpenAIによれば、個人用のメモリ機能はグループチャットでは使用されません。あなたが普段のチャットで蓄積している情報が、グループメンバーに見られる心配はないということです。これはユーザーのプライバシー保護を最優先にした設計です。なお、将来的にメモリ共有のオプションが追加される可能性については、現時点では具体的な発表はなく、あくまで検討段階とされています。
公式が推奨する活用シーン
旅行の計画を複数人で効率化
週末旅行を企画する際、友人グループでチャットを作成すれば、行き先の比較や旅程の作成、持ち物リストの整理をChatGPTに手伝ってもらえます。従来は1人がChatGPTで情報を集めて、それを別のLINEグループなどで共有する必要がありましたが、この手間が省けるわけです。
職場での共同作業をサポート
資料のアウトライン作成や、新しいテーマのリサーチを複数人で進める場合、グループチャットにChatGPTを加えることで、パートタイムのアシスタントのような役割を果たしてくれます。記事やノートを共有すれば、要約や情報整理も依頼できます。
実際に使えそうなシーンを冷静に考えてみる
| 利用シーン | 従来の方法 | グループチャット活用 | 実用性と評価理由 |
|---|---|---|---|
| 旅行計画 | 1人がChatGPTで調べてLINEで共有 | 全員で同時に質問・相談 | ○ 情報収集と意思決定が同時進行で効率化 |
| 会議の議事録作成 | 会議後に個別で要約依頼 | リアルタイムで要点整理 | △ 音声入力機能の有無により実用性が変わる。テキストでのやり取りが前提 |
| 学習グループ | 各自で質問して結果をシェア | 疑問点をその場で解決 | ○ 複数人で同時に学べるため学習効率が大幅向上 |
| プロジェクト管理 | Slackなどの専用ツール | ChatGPTを進行役に追加 | △ タスク管理・期限設定・外部連携・高度な通知機能が不足 |
表を見ると分かるように、情報収集や学習のような用途では一定の価値がありそうです。一方で、本格的なプロジェクト管理となると、SlackやTeamsといった専用ツールの方が機能面で優れています。具体的には、タスクの割り当て、期限の設定、外部サービスとの連携(Google DriveやTrelloなど)、カスタマイズ可能な通知機能といった要素が、グループチャットには欠けています。
気になる問題点と懸念材料
期待できるメリット
- 情報収集の効率が上がる
- 参加者全員が同じ文脈を共有できる
- 複数の視点からAIに質問できる
- 従来のツールを往復する手間が減る
- 学習やブレストに向いている
注意すべきデメリット
- 会話が散漫になりやすい(質問が重なるとスレッドが混乱)
- 専用ツールと比べて管理機能が弱い(グループ作成者以外も他メンバーを削除できる仕様など)
- 不適切な使い方をされる可能性
- リアルタイムのファクトチェックで険悪化
- 既存のコミュニケーションツールで十分な場合も
- 複数人が同時に質問すると応答が順番待ちになる
現実的に起こりそうな問題
OpenAIは理想的な使い方を提示していますが、実際には予想外の使われ方も考えられます。例えば、グループ内の誰かがChatGPTを使って他の参加者の発言を逐一ファクトチェックし始めたら、雰囲気は一気に悪くなるでしょう。実際の利用者からも、会話が散漫になりやすいという声が上がっています。
また、若年層のユーザーがAIを「反撃してこない相手」として扱い、いじめのような行為に及ぶ可能性も指摘されています。OpenAIは18歳未満の参加者がいる場合、全員にコンテンツフィルターを適用し、さらに保護者によるペアレンタルコントロールで機能自体を無効化できるという具体的な安全対策を講じています。しかし、こうした技術的な対策だけで完全に防ぐのは難しいのが現実です。
エンターテインメントとしての価値と限界
実用性の議論とは別に、純粋に楽しむという観点では十分な価値があると言えます。友人と集まって「こんな質問したらどう答えるか試してみよう」という遊び方は、新しい楽しみ方として成立するでしょう。
楽しむための活用例
複数人で架空のシナリオを作り、ChatGPTにキャラクターを演じてもらう。例えば「あなたは江戸時代の商人です」と設定し、当時の暮らしについて質問していく。グループ機能の真価は、複数の参加者が異なる登場人物の視点で質問できることにあります。ある人は武士の視点、別の人は農民の視点で質問することで、より立体的・多角的な歴史体験学習が可能になります。これは1対1の対話では得られない価値です。
また、創作活動のブレインストーミングにも使えます。小説の登場人物を複数人で考える際、ChatGPTに設定の矛盾点を指摘してもらったり、プロット展開のアイデアを出してもらったりできます。複数人の視点が入ることで、より多面的なフィードバックをAIから引き出せるでしょう。
ただし、長期的に使い続けるかは別問題です。初めは物珍しさで盛り上がっても、飽きてしまう可能性は高いでしょう。
結局、誰に向いている機能なのか?
この機能が向いている人
- 友人グループで旅行やイベントを頻繁に企画する人
- 学習仲間と一緒に勉強する習慣がある学生
- 少人数チームで簡易的な情報整理を行う必要がある人
- AIとの対話を複数人で楽しみたいと考えている人
- 新しいツールを試すのが好きなアーリーアダプター
逆に、企業の本格的なプロジェクトや、機密性の高い情報を扱う場合には、専用のビジネスツールを使うべきです。グループチャットはあくまでカジュアルな情報共有や軽いコラボレーション向けと考えた方が良いでしょう。グループの管理についても、作成者は自ら退出することでしかグループを削除できないほか、作成者以外のメンバーも他のメンバーを削除できる権限を持つなど、細かな権限管理(管理者・モデレーター設定など)はできない設計になっています。これは、ビジネス用途での使用を想定していない証左と言えるでしょう。
OpenAIの本当の狙いは何か?
この機能の背景には、OpenAIのビジネス戦略が透けて見えます。一部報道では、ChatGPTのアクティブユーザー数や滞在時間が伸び悩んでいるとも言われています。
グループチャット機能は、ユーザー同士の交流を促進することで、プラットフォームへの滞在時間を延ばす狙いがあると考えられます。FacebookやXのようなソーシャルメディア的な性質を持たせることで、単なるAIツールから「人が集まる場所」へと進化させようとしているのかもしれません。
OpenAI自身も「ChatGPTが他の人と一緒に協働・交流できる共有スペースへと進化していくための第一歩」と述べており、今後さらなる社会的機能が追加される可能性は高いでしょう。
まとめ:必要性は使う人次第、でも試す価値は十分にある
グループチャット機能は、全ての人に必要なものではありません。しかし、特定のシーンでは確実に便利です。旅行計画や学習グループのように、複数人で情報を集めながら意思決定する場面では、従来より効率的に作業できるでしょう。
一方で、本格的なビジネス用途には向きません。また、楽しむという意味では間違いなく面白い機能ですが、長く使い続けるかは個人の好み次第です。
最大の利点は、無料プランでも全機能を試せる点です。まずは友人や学習仲間と一緒に使ってみて、自分の生活に合うかどうか判断するのが一番です。新しいコミュニケーションの形を体験できるチャンスとして、気軽に試してみる価値は十分にあります。
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