高額療養費の上限、2026年8月からいくら変わった?
「思ったより医療費がかかった」――家族の入院や自分の通院で、そんな驚きを経験したことはありませんか。医療費が一定額を超えた分を払い戻す「高額療養費制度」の内容が、2026年8月の受診分から変わりました。
多くの所得区分で月々の自己負担上限が引き上げられる一方、長く治療を続ける方のために「年間上限」という仕組みが新たに設けられています。とくに注意したいのが、70歳以上の外来特例と、2027年8月に予定されているさらなる見直しです。この記事では、年収別の上限額の変化と、申請時に気をつけたい点を具体的な数字とともに整理します。
まず押さえたい3つの数字
細かい制度の説明に入る前に、今回の見直しの規模感を数字で確認しておきましょう。
2026年8月からの月額上限
70歳未満などは約4〜7%上昇 世帯単位の月額上限の話です。70歳以上の外来特例は別枠で、これより大きく上がった区分があります(後述)。新設された年間上限の対象期間
2026年8月〜2027年7月 入院を含む世帯単位の年間上限は、所得と年齢に応じ18万〜168万円です。70歳以上の外来には、これとは別に個人単位の年間上限(一般21万6,000円、低所得者Ⅱ9万6,000円など)があります。2027年8月に予定される再改定
定額部分が最大約38%上昇 年収目安650万〜770万円の区分で、上限額の定額部分が現行比約38%上がる見通しです。実際の負担増は総医療費によって異なります。金額は厚生労働省が2026年6月2日に公表した資料に基づきます。「年収」はあくまで目安で、実際は標準報酬月額や課税所得などで判定されるため、正確な金額は加入している健康保険組合・協会けんぽの案内でご確認ください。
よくある疑問に答えます
そもそも高額療養費制度とは?
1か月にかかった医療費の自己負担が、決められた上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。1973年に導入されて以降、対象や仕組みが段階的に広がってきました。
高額療養費の対象にならない費用は?
対象は保険診療分だけです。差額ベッド代、入院中の食事代、自由診療、先進医療の技術料などは対象外のため、窓口での支払い全額が上限の対象になるわけではありません。
月をまたいで入院した場合はどう計算される?
高額療養費は毎月1日から末日までで計算します。月をまたぐ入院は、それぞれの月ごとに分けて上限額が判定されます。
年間上限に達したら、窓口での支払いはゼロになる?
年間の上限を超えた分は、加入している保険者から還付を受ける仕組みです。窓口の支払いが自動的にゼロになるとは限らないため、申請方法や自動支給の有無は加入先に確認してください。
自分がどの所得区分にあたるか、どう確認すればいい?
マイナポータルや、任意記載事項が記載された資格確認書、限度額適用認定証などで確認できます。「年収」はあくまで目安で、実際は標準報酬月額や課税所得などで判定されます。
高額療養費を受け取るために、何か手続きは必要?
マイナ保険証を利用していれば、多くの場合は窓口で特別な手続きをせずに上限額までの支払いで済みます。マイナ保険証がない場合や、医療機関がオンライン資格確認に対応していない場合は、限度額適用認定証などを事前に用意しておくと安心です。
改定前と2026年8月からの金額を比べてみる
実際にどのくらい変わったのか、厚生労働省が公表している金額を表にまとめました(70歳未満は世帯単位の月額上限、70歳以上は個人単位の外来特例です)。
| 項目 | 改定前 | 2026年8月から | 変化 |
|---|---|---|---|
| 年収目安370万〜770万円 月上限(基準額) | 8万100円 | 8万5,800円 | 約+7% |
| 年収目安770万〜1,160万円 月上限(基準額) | 16万7,400円 | 17万9,100円 | 約+7% |
| 住民税非課税世帯(70歳未満)月上限 | 3万5,400円 | 3万6,900円 | 約+4% |
| 70歳以上・一般区分の外来特例(月額) | 1万8,000円 | 2万2,000円 | 約+22% |
| 70歳以上・低所得者Ⅱ(住民税非課税)の外来特例 | 8,000円 | 1万1,000円 | 約+37.5% |
| 70歳以上・低所得者Ⅰ(所得が一定以下)の外来特例 | 8,000円 | 8,000円 | 変更なし |
年間上限は2026年8月〜2027年7月の1年間で判定されます。さらに2027年8月には所得区分が12区分に細分化される予定で、年収目安650万〜770万円の方は月上限の定額部分が8万100円から11万400円となり、現行比約38%上がる見通しです。ただし実際の自己負担額は総医療費によって異なります。
負担が増えるケースと軽くなる可能性があるケース
負担が増えやすいケース
- 短期間に高額な治療を受け、月額上限に達する方
- 70歳以上で外来通院が多い、一般区分・低所得者Ⅱ(住民税非課税)の方
- 2027年8月以降、年収目安650万〜770万円に該当する方
負担が軽くなる可能性があるケース
- 毎月の負担は上限に届かないものの、年間を通じて負担が積み重なる方
- 極めて高額な治療を単月で受ける方
- 年収目安200万円未満の課税世帯で「多数回該当」に当てはまる方(2027年8月から軽減額が拡大)
あなたの状況ではどう影響する?
今のうちに確認しておきたいこと
- 自分や家族の所得区分を、マイナポータルや資格確認書で確認したか
- 支払った金額が保険診療分か、差額ベッド代などを含む総額かを区別できているか
- 通院・入院が月をまたぐ予定があるか(月ごとに上限が判定されます)
- 家族の医療費を合算できる条件(70歳未満は1件2万1,000円以上など)に当てはまるか
- 年間上限を超えた分の還付方法を、加入先の保険者に確認したか
- 転職や退職で保険者が変わる予定がないか(多数回該当の回数が引き継がれないことがあります)
制度の変化を、正しく知ることから
今回の見直しは、高齢化や医療の高度化によって膨らみ続ける医療費という、社会全体の課題に向き合うためのものとされています。月々の上限が上がる区分がある一方、年間を通じて負担が積み重なる方には新しい仕組みも加わりました。
まずはご自身の所得区分と、今回の変更が実際にどのくらい影響するのかを確認することから始めてみてください。制度の詳細は今後も更新される可能性があるため、厚生労働省や加入している健康保険組合の公式案内もあわせてご確認いただくことをおすすめします。
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