憲法改正「賛成57%」読売世論調査2026
高市首相への期待は石破・岸田両政権の2倍——条文ごとに民意は大きく分かれている
スマートフォンの利用が法律で制限されるかもしれない。大規模災害や有事のとき、政府が国民の権利を一時的に制限できるルールが憲法に加わるかもしれない。こうした変化の可否を左右するのが、いま国会で本格化しつつある憲法改正の議論です。
読売新聞が2026年3〜4月に実施した全国世論調査では、憲法改正に「賛成」と答えた人が57%に達し、高市早苗首相の任期中に改正議論が進むことを「期待する」と答えた人も54%でした。石破茂・前首相時代(26%)の約2.1倍、岸田文雄・元首相時代(29%)の約1.9倍にあたります(いずれも目安)。
ただし、「賛成」の内側にある民意は一枚岩ではありません。9条の第1項と第2項では賛否の数字が大きく異なり、「改正に賛成か」という問いへの答えは「何をどう変えるか」によって変わります。この記事では、調査データの事実を整理したうえで、読者が自分なりの判断材料を持てるよう情報を提供します。
最新調査で見えた3つの数字
2026年の憲法記念日(5月3日)を前に公表された読売新聞の全国世論調査は、改憲論議の現状を示すいくつかの注目すべき数値を含んでいます。
読売調査・前年比-3pt
改憲議論「期待する」
読売調査
「もっと活発に」
読売調査・前年比-3pt
「賛成57%」と同時に「反対40%」も増加している
注意が必要なのは、改憲「反対」が前年の36%から40%へと4ポイント増加し、賛否の差が昨年の24ポイントから17ポイントへ縮まっている点です。高市政権発足後に改憲への期待感が高まる一方で、慎重派や反対派も増えており、数値だけで「民意が固まった」と結論づけることはできません。
毎日新聞調査との比較(調査方式が異なります)
毎日新聞でも2026年に憲法に関するスマートフォン調査が実施され、自衛隊の憲法明記への賛成は読売調査と異なる水準で報じられました。設問・調査方式が異なるため、両社の数値を単純に並べて比較することはできません。各社の正確な数値や調査の詳細は、出典元の公式記事をご参照ください。
憲法改正をわかりやすく解説——判断の前に押さえておきたい5つの疑問
「賛成か反対か」を考える前に、改憲の手続きや条文ごとの違いを整理しておきましょう。数字だけを見ていると、何に賛成・反対しているのかが見えにくくなります。
Q1. 憲法改正とは何をすることですか?
日本国憲法の条文を書き換えることです。現在の憲法は1947年5月3日の施行以来、一度も改正されていません。改正するには後述する2段階の手続きが必要で、通常の法律改正より高いハードルが設けられています。
Q2. 改正するための手続きは?
まず国会の発議(国会が国民に対して「この条文をこう変えます」と提案すること)が必要で、衆参両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成が求められます。次に国民投票が実施され、有効投票の過半数が賛成した場合のみ改正が成立します。最終的に国民が直接賛否を決める仕組みです。
Q3. 9条の「1項」と「2項」は何が違うのですか?
9条は2つの段落に分かれています。1項は「戦争の放棄」を定めており、今回の調査で改正が「必要ない」とした人が80%と圧倒的多数でした。2項は「戦力の不保持・交戦権の否認」を定めており、改正の賛否はほぼ拮抗していると報じられています(具体的な数値は出典元の公式発表をご確認ください)。「9条改正」と一言で言っても、1項と2項では民意がまったく異なります。
Q4. 自民党が提案している「自衛隊の明記」とはどういう内容ですか?
9条2項はそのままにしつつ、新たな条文を加えて自衛隊の存在を憲法上に明記する案です。現在、自衛隊は法律(自衛隊法)に基づいて設置されていますが、憲法には直接の記載がありません。読売新聞2025年調査では54%が賛成と報じられており(読売新聞2025年調査公表値)、各年度・各社の調査で数値が変動するため、最新の数値は出典元の公式発表をご確認ください。
Q5. 「緊急事態条項」とは何ですか?
緊急事態条項とは、大規模災害やテロ・有事などの際に、内閣が国会の通常審議を経ずに緊急の措置を講じやすくするルールです(具体的な権限の範囲は条文案によって異なります)。支持者は「迅速な対応が可能になる」と主張し、懸念する人は「権力の集中につながりかねない」と指摘します。今回の読売調査では独立した設問として設けられていませんが、改憲の焦点の一つです。
数字で見る:歴代3首相の比較と条文別の賛否
以下の2つの表は、いずれも読売新聞の各年度調査に基づく数値です。政権ごとの改憲期待度と、条文・項目ごとの民意の差を整理しました。
表1:歴代首相への改憲期待度(読売調査)
| 首相 | 調査年 | 「期待する」 | 前政権比 | 調査時点の状況(事実) |
|---|---|---|---|---|
| 岸田文雄 | 2024年 | 29% | — | 安保三文書の改定を推進。改憲発議の動きは表面化せず |
| 石破茂 | 2025年 | 26% | -3pt | 外交・防衛体制の整備を優先課題として位置づけ |
| 高市早苗 | 2026年 | 54% | +28pt | 自民党大会で改憲の早期実現を表明。「時は来た」と発言 |
表2:条文・テーマ別の賛否(読売調査・2026年)
※ 一部の細かな項目別数値は出典元の公式発表でご確認ください。
| 調査項目 | 賛成・改正必要 | 反対・不要 | 前年比(賛成側) | 民意の傾向 |
|---|---|---|---|---|
| 憲法改正(全体) | 57% | 40% | -3pt | 賛成優位 |
| 9条1項の改正 | 17% | 80% | 変化なし | 反対が圧倒的 |
| 9条2項の改正 | 賛否ほぼ拮抗(公式発表で要確認) | ほぼ拮抗 | ||
| 自衛隊明記(自民党案) | 賛成優位の傾向(具体数値は公式発表で要確認) | 賛成優位 | ||
「憲法改正に賛成57%」という数字と、「9条1項の改正は必要ない80%」という数字は、同じ調査から出ています。全体への賛否と個別条文への賛否は別の問いです。「賛成57%」の中には「自衛隊の明記は認めるが、戦争放棄は変えなくてよい」という立場の人も含まれている可能性があります。
偽・誤情報対策としてSNS規制を強化することへの賛成は83%、反対は14%でした。これは憲法改正の直接の対象ではなく、法律の制定で対応する問題です。ただし憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いから、改憲論議に波及することも議論されています。年代別では高齢層ほど賛成割合が高く、若年層との間に差が見られました(詳細数値は読売新聞公式報道でご確認ください)。
9条改正で何が変わる?緊急事態条項の問題点とは
「改憲」はひとつのことではなく、項目ごとに内容も影響も大きく異なります。議論の中心となっている3つの項目について、それぞれの主な論点を整理します。
自衛隊の憲法明記
主な賛成意見
- 自衛隊の法的根拠が明確になり、「違憲論争」に終止符が打てる
- 自衛隊員の職務の正当性が憲法上裏付けられる
- 9条2項はそのままにするため、戦争放棄の原則は維持される
主な懸念意見
- 明記することで自衛隊の活動範囲が将来的に広がる余地が生まれる
- 9条の抑制的な解釈が崩れる「呼び水」になるという見方がある
- 現状で十分機能しており、改正の必要性が薄いという意見もある
緊急事態条項の新設
主な賛成意見
- 大規模災害や有事に政府が迅速に対応できる法的根拠が整う
- 選挙が実施困難な事態への対応も規定できる
- 多くの民主主義国家が類似の規定を持っている
主な懸念意見
- 私権制限(自由が一時的に制限されること)が広がるリスクがある
- 内閣への権力集中が常態化する恐れがある
- 「緊急」の範囲が曖昧なまま条文化されると拡張解釈が起きうる
高市総理の憲法観:過去の発言と現在のスタンス
改憲論議を主導する立場にある高市首相がどのような憲法観を持ってきたかは、議論の方向性を読むうえで参考になります。以下では、報道に基づく事実(過去の発言)と現在の公式見解を区別して記載します。
高市氏は2004年に雑誌「ディフェンス」に寄稿した論文の中で、「日本国民は国防の義務を負う」「有事の際、私権の一部制限に協力する」「非常事態に対応するため内閣総理大臣への権力集中を憲法に書くべき」などと記していました。また、国防軍の保持や緊急事態条項を含む2012年の自民党憲法改正草案について「ベストだと思っている」と発言したと複数メディアが報じています(発言時期・場の詳細は引き続き確認が必要です)。
高市事務所は取材に対し、「内閣総理大臣としては、憲法審査会や各党各会派における御議論を尊重する立場から、改正内容について具体的に考えを述べることは差し控えます」と回答しています。自由民主党総裁としては「国民投票による憲法改正の早期実現に向け、党の総力を挙げて着実に議論を前進させる」との方針を示しています。
コラム削除問題
報道によれば、高市氏はコラムを「すべて掲載し続ける」としていた時期があった一方、2026年2月にコラム欄ごと削除されていたことが国会でも取り上げられました。高市総理は「総理になってからコラムを書く時間もなく、更新できていなかったため削除した」と説明したと報じられています(発言の詳細な時期・場については一次確認が必要です)。
過去の論文が現在の政策意図を直接示すものではありませんが、改憲論議の方向性を判断する参考情報として複数のメディアが報じています。
「賛成か反対か」を考える前に確認したい5つのポイント
改憲への賛否は「何を・どのように変えるか」によって答えが変わります。世論調査の数字を参照しながら、自分の立場を整理するための確認リストです。すべてに明確な答えがなくても構いません。
自分の立場を整理するための確認リスト
- 「憲法改正に賛成・反対」と答えるとしたら、自衛隊の明記・9条の変更・緊急事態条項のどれを想定しているか
- 緊急事態条項が新設された場合、災害時などに私権(個人の自由や財産への権利)が制限されることをどう受け止めるか
- SNS規制を「表現の自由」の観点からどこまで認められるか——年齢制限や虚偽情報への削除命令などを想定しながら考えてみる
- 国民投票が実施されたとき、自分は投票に行くか(改正の成否は最終的に国民の投票で決まる)
- ニュースや世論調査の数字を見たとき、調査方法や設問の内容まで確認したうえで解釈しているか
今回の調査では、憲法議論を「もっと活発に行うべき」と答えた人が71%に達しました。賛否を超えて「もっと情報がほしい」「丁寧な説明が必要だ」という声が多数派である事実は、数字が示す民意のひとつです。
「57%の賛成」が示すことと、あなたが持てる視点
今回の世論調査が示したのは、単純な「改憲賛成多数」という事実ではありません。高市政権への改憲期待が前政権の約2倍に達した一方で反対派も増加し、条文ごとの民意は全体の数字とは大きく異なります。
この記事の整理
読売新聞2026年調査で改憲「賛成」57%・「反対」40%(賛否の差は前年の24ポイントから17ポイントへ7pt縮小)。高市首相任期中の改憲期待54%は、石破26%・岸田29%を大きく上回りました。条文別では9条1項の改正を「必要ない」が80%、自衛隊明記への「賛成」は2025年調査では54%と報告されており(読売新聞2025年調査公表値)(各年度・各社の調査で数値は変動します)、同じ「改憲」でも項目で民意は分かれています。
高市総理は過去の論文で「国防の義務」「私権制限」「首相への権力集中」を含む改憲構想を示していましたが、現在は改正内容の具体的言及を「差し控える」としています。報道された過去の発言と、現在の公式見解は区別して参照することが重要です。
あなたが最初に考えるべきは「改憲に賛成か反対か」ではなく、「9条2項をどう考えるか」「緊急事態条項は必要か」という具体的な問いです。その答えが出てはじめて、国民投票での一票が意味を持ちます。
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