NewJeansとADOR:活動再開に向けた契約遵守の軌跡
2024年4月、親会社HYBEがADORのミン・ヒジン代表に対する監査を開始したことで表面化した対立。その影響を受けたNewJeansは、2024年11月28日に契約解除を宣言し、独自活動の窓口として「NJZ」という名称を使用していましたが、2025年12月1日、関連するSNSアカウントがすべて削除されました。
裁判所の判断、メンバーの決断、そして事務所との関係再構築へ。K-POP業界を揺るがせた一連の騒動を、他のK-POPグループのファンである筆者の視点から、時系列で整理してお伝えします。
最新情報(2025年12月1日時点)
NewJeansが独自活動の窓口として使用していた「NJZ」関連のSNSアカウントがすべて削除されたと報じられています。これについて、ADORとの関係再構築の動きとみなす報道もありますが、公式の詳細な発表はまだ出ていません。
数字で見るNewJeansの転換点
何が起こったのか?出来事を時系列で整理
2024年4月:対立の始まり
親会社HYBEが、子会社ADORのミン・ヒジン代表に対する監査を開始したことが報じられ、対立が公に表面化しました。この対立は主にミン・ヒジン代表とHYBEの間で起きたものですが、NewJeansのメンバーたちもその影響を受けることになります。
2024年8月27日:ミン・ヒジン氏の代表解任
ミン・ヒジン氏がADOR代表取締役を解任されました。NewJeansを世界的グループに育て上げたプロデューサーの解任は、メンバーたちに大きな衝撃を与えることになります。
2024年9月11日:緊急生配信
NewJeansが緊急生配信を行い、HYBEに対してミン・ヒジン氏の復職を要求しました。メンバーたちの強い意志が示された瞬間でした。
2024年11月13日:仮処分申請棄却
ソウル中央地方裁判所が、NewJeansメンバー側が申請していた「専属契約効力停止」の仮処分申請を棄却しました。これにより、専属契約が引き続き有効であることが示されました。
2024年11月28日:契約解除の宣言
NewJeansのメンバー5人が緊急記者会見を開き、ADORとの専属契約を解除すると正式に発表しました。
メンバーたちは「信頼関係が完全に破綻している」として、ADORとの契約継続は不可能だと主張しました。
2024年12月3日:ADOR側が提訴
NewJeansの契約解除宣言を受けて、ADORが「専属契約有効確認訴訟」を提起しました。法的な争いが本格化することになります。
2024年12月上旬:NJZアカウント設立
NewJeansは独自活動の窓口として「NJZ」や「jeanzforfree」といった名称のSNSアカウントを設立しました。親御さんたちもこれらのアカウントを通じて声明を発表するなど、独自の情報発信ルートを構築しました。
2025年3月24日:活動差し止め
裁判所が「企画会社の地位保全及び広告契約締結禁止」仮処分を認容し、NewJeansの独自活動が差し止められることになりました。
2025年5月30日:賠償金判決
裁判所が「独自活動禁止」仮処分を確定し、独自活動する場合は賠償金が発生するとの判決を下しました。
2025年10月30日:専属契約有効判決
ソウル中央地方裁判所が一審判決を言い渡しました。ADORがNewJeansメンバー5人を相手取り提起した専属契約有効確認訴訟において、「専属契約は有効である」との判断が下されました。
裁判所は、ミン・ヒジン氏がADOR代表取締役を解任されたという事実だけでは、契約解除の理由にはならないと説明。NewJeansメンバー側が主張した信頼関係の破綻という理由も認められませんでした。
2025年11月12日:契約遵守の意思表明
一審判決後、ADORが公式にヘリン(Haerin)とヘイン(Hyein)の復帰を発表しました。ADORは「十分な話し合いを重ねた末に裁判所の判決を尊重し、専属契約を遵守する決定を下した」と説明しています。
同日夕方、ミンジ(Minji)、ハニ(Hanni)、ダニエル(Danielle)の3人も法律代理人を通じて契約遵守を表明したと伝えられています。
ADOR側は「ヘリンとヘインは正常な協議を経て復帰した」としつつ、残り3人については「個別面談を推進する」と発表し、対応に違いが見られました。これは、2人と3人で表明の形式が異なることを示しています。
2024年11月27日:ミン・ヒジン氏の証言
ミン・ヒジン元ADOR代表がHYBEとの訴訟弁論に出席。法廷で涙ながらに「地獄のようだったけれどNewJeansのために耐えた」と訴えたと報じられています。
プロデューサーとしての立場から、「私は何も悪いことをしていないのに、なぜほかの人たちにまで被害がおよぶのか」と無念さを吐露しました。
2025年12月1日:NJZアカウント削除
NewJeansが独自活動の窓口として使用していた「NJZ」関連のSNSアカウントがすべて削除されたことが複数のメディアで報じられました。
この動きについて、ADORとの関係再構築への段階に入ったとみる報道もありますが、公式の詳細な発表はまだ出ていません。現時点では、ヘリンとヘインについては「復帰を歓迎」、残り3人については「真意を確認中」とするADOR側のコメントも伝えられています。
対立の構図:何が問題だったのか
| 争点 | NewJeans側の主張 | ADOR側の主張 |
|---|---|---|
| 契約の有効性 | 信頼関係が破綻しており効力停止を求める | 専属契約は完全に有効 |
| ミン・ヒジン氏の役割 | プロデューサーとして不可欠な存在 | 代表取締役の保障は契約義務でない |
| マネジメント能力 | ミン氏解任で空白が発生 | 遂行能力に問題なし |
| 今後の活動 | 契約遵守の意思を表明(2025年11月12日) | 個別面談を通じて活動再開を協議中 |
契約遵守を選んだ理由:メンバーの判断
なぜNewJeansのメンバーたちは、独自活動から契約遵守へと方向転換したのでしょうか。外から見て考えられる要因を整理してみます。
契約遵守を選ぶメリット
- 法的リスクの回避。裁判所が契約の有効性を認めた以上、独自活動は違約行為になる可能性が高い
- 5人での活動継続の可能性。全員が契約遵守の意思を表明したことで、完全体での活動の道が開かれる
- 既存のインフラ活用。ADORが持つマネジメント体制やプロジェクトを利用できる
- キャリアの継続性。大手事務所HYBEグループの一員としての活動が可能
今後の課題
- 信頼関係の再構築。対立期間中に生じた溝をどのように修復していくか
- ミン・ヒジン氏との協業。NewJeansのブランドを作り上げたプロデューサーとの今後の関係性
- 創作活動の方向性。メンバーたちのビジョンとADORの方針をどう調整するか
- 個別面談の結果。特にミンジ、ハニ、ダニエルの3人とADORの協議がどうなるか
ミン・ヒジン氏との関係:プロデューサーの立場
NewJeansを世界的グループに育て上げたミン・ヒジン元ADOR代表。2024年8月27日に代表取締役を解任され、2024年11月20日には取締役も辞任してADORを完全に離れました。彼女の法廷での証言からは、アーティストへの深い愛情と、状況に対する無念さが伝わってきます。
ミン・ヒジン氏の主張のポイント
「NewJeansの子たちはとても賢く、誰かに命じられて動くような子たちではない」。ハニの国政監査出席について、自主的な判断であったと強調したと報じられています。
また、HYBEとの契約について「奴隷契約条項を入れられた。永久的な兼業禁止について大きな裏切りと怒りを感じた」と訴え、プロデューサーとしての権利が不当に制限されたと主張しているようです。
プットオプション(株式売却権)をめぐる訴訟では、260億ウォン(約27億円、執筆時点の為替レート)の支払いが争点となっており、2026年初めに判決が下される予定と伝えられています。
今後の展開:ファンが期待すること
注目すべき5つのポイント
※以下の情報は2025年12月時点のものです。今後の公式発表や報道により状況が変わる可能性があります。
- ADORとの個別面談の結果。特にミンジ、ハニ、ダニエルの3人は法律代理人を通じた意思表明だったため、ADORとの直接協議がどう進むかが注目されています
- 今後の活動スケジュール。正規アルバムのリリースやその他の活動計画について、現時点では具体的な発表はまだ出ていません
- ミン・ヒジン氏との今後の関係。プロデューサーである彼女が、今後NewJeansのプロデュースにどのように関わっていくのか。プットオプション訴訟の判決(2026年初め予定)も影響する可能性があります
- グループのブランドイメージ。NJZ名義での活動から、どのようにNewJeansとしてのアイデンティティを再構築していくか
- 信頼関係の再構築。法的契約は有効でも、実際の信頼関係の修復がどう進むかは未知数です。今後の展開に引き続き注目が必要です
この騒動が示すもの
この騒動は、K-POP業界における所属契約の重要性を改めて浮き彫りにしたと言えるかもしれません。
アーティストと事務所の関係は、単なる雇用契約ではないようです。創作活動の方向性、ブランドの管理、キャリアの設計など、多岐にわたる要素が絡み合っていると考えられます。
NewJeansのケースでは、裁判所が契約の法的有効性を認めた一方で、信頼関係の問題は解決されていない可能性があります。契約は有効でも、実際の協業関係をどう再構築していくかは、また別の課題なのかもしれません。
NewJeansファンの皆さんへ
正直に言うと、筆者自身はNewJeansのファンではなく、他のK-POPグループを応援している立場です。でも、この約20ヶ月間の出来事を追っていて、皆さんがどれだけ心配し、応援し続けてきたかは想像に難くありません。
NJZアカウントの削除、そして契約遵守の意思表明。ここまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。これから先、どんな展開が待っているのか、まだ誰にもわかりません。
ミンジ、ハニ、ダニエルの3人とADORの個別面談がどうなるのか。今後の活動スケジュールはどうなるのか。ADORを離れたミン・ヒジン氏はプロデューサーとしてどのように関わっていくのか。気になることはたくさんありますよね。
でも焦る必要はないのかもしれません。大切なのは、5人のメンバーが納得できる形で活動できることですから。法的な契約が有効でも、信頼関係の再構築には時間がかかるでしょう。
他のグループのファンである筆者も、K-POP業界全体の未来を考えると、この騒動の行方には関心があります。NewJeansがどんな道を選んでいくのか、温かく見守っていきたいと思います。皆さんも、メンバーたちを信じて、今後の成り行きを一緒に見守っていきましょう。
参考情報
情報の出典について
本記事は、以下の信頼できる報道機関やメディアの報道を参考に作成しています:
- 韓国の主要メディア(聯合ニュース、中央日報、朝鮮日報など)
- 日本のK-POP報道メディア(音楽ナタリー、モデルプレスなど)
- ADOR及びHYBEの公式発表
- ソウル中央地方裁判所の判決報道
記事の更新について
本記事は2025年12月2日時点の情報に基づいて作成されています。
NewJeansとADORを巡る状況は現在も進行中であり、今後新たな公式発表や報道により情報が更新される可能性があります。
特に以下の点については、最新の公式発表や報道をご確認ください:
- 個別面談の結果と今後の活動スケジュール
- ミン・ヒジン氏とHYBEのプットオプション訴訟(2026年初め判決予定)
- NewJeansの正規アルバムリリース等の活動計画
免責事項
本記事は報道情報に基づいて作成されたものであり、全ての事実関係を保証するものではありません。正確な情報は各公式発表をご確認ください。また、本記事の内容は筆者個人の見解であり、特定の団体や企業の公式見解を代表するものではありません。
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