職場のトイレにナプキンが置いてある時代へ
「備品化」が変える、働く女性の毎日
職場で急な生理、民間調査では女性の約6割が経験と回答
「今日に限ってナプキンを持っていない」「コンビニは遠いし、席を外せる雰囲気じゃない」――そんな状況に追い込まれた経験はありませんか。これは個人の不注意ではなく、職場にナプキンがないという設備の問題です。この課題への現実的な解決策として注目を集めているのが、職場のトイレへのナプキン「備品化」です。
大林組などの建設現場でも導入が進むこの取り組みが、働く女性の毎日をどう変えているのか。調査データとともに解説します。
急な生理の実態:約6割の女性が職場・外出先で困った経験
複数の調査や当事者の声から、急な生理への対処が多くの女性にとって切実な課題であることが見えてきます。特に困る場所として「職場」「外出中」を挙げる声が多く、すぐに席を離れにくい環境での対応の難しさが共通して語られています。
困った経験がある
トイレットペーパーで応急処置
「職場」と回答
※上記数値は複数の民間調査・報道から引用した参考値です。調査主体・実施時期により数値は異なります。
民間調査によると、対処法の1位は「トイレットペーパーなどで応急対応した」(約35%)でした。衛生面でも精神的にも望ましい状況とはいえません。これは個人の準備不足ではなく、設備が不十分なためにやむを得ず不適切な対応を強いられているインフラの問題です。「今この瞬間をどうにかしなければという状態だった」という声が、当事者のリアルな苦しさを物語っています。
生理と仕事の経済損失(経産省2024年発表):年間約5,700億円の重み
これは個人の問題にとどまりません。経済産業省は2024年、女性特有の健康課題全体による社会損失が年間約3.4兆円にのぼるとの試算を公表しました。この巨大な数字のうち、月経に伴う欠勤・パフォーマンス低下による労働生産性の損失だけで約5,700億円に達します。つまり、生理への対応は全体課題のごく一部にすぎず、その影響は企業経営に直結する規模です。
女性の就労人数が増え続ける中、生理への対応はもはや「個人の問題」ではなく、企業が真剣に向き合うべき重要課題として位置づけられつつあります。更年期やPMSを含む女性特有の健康課題全体への理解促進が、次世代の職場環境づくりに欠かせない視点です。
出典:経済産業省(2024年公表)
「職場 生理用ナプキン 備品化」とは?2サービスを徹底比較
備品化とは、トイレットペーパーと同じように、職場のトイレにナプキンを標準装備する取り組みです。企業が福利厚生として費用を負担し、女性社員が必要なときに気兼ねなく使えるようにします。
実例:大林組(大手ゼネコン)
2024年5月から建設現場に導入。白い作業着で働く女性社員から「染み出していないか常にストレスだったが、安心して働けるようになった」という声が寄せられました。「生理用品と最も縁遠い」と思われてきた現場でも、備品化は確実に機能しています。
花王「職場のロリエ」
2022年にスタートした日本初(ナプキンメーカー発信として)のプロジェクト。専用の収納ボックスを無償提供し、ナプキン代は企業が購入する仕組みです。研修動画「生理を知る。考える。」の提供で、全社員の相互理解による業務の円滑化も支援。2025年9月時点で企業・学校あわせて500社を突破し(以降も拡大中)、約95%が継続を希望しています。
ユニ・チャーム「どこでもソフィ」
2025年10月にスタート。ナプキンを入れるディスペンサーを無償で提供します。「職場の心理的安全性(=周りに気を使わずに済む安心感)が増すほか、女性の健康課題に取り組む企業としての社会的評価向上にもつながる」と担当者は述べています。
| 比較項目 | 花王「職場のロリエ」 | ユニチャーム「どこでもソフィ」 |
|---|---|---|
| 開始時期 | 2022年 | 2025年10月 |
| 無償提供 | 専用ボックス+研修動画 | ディスペンサー |
| ナプキン費用 | 企業が購入(品種は自由) | 企業が購入 |
| 導入実績 | 500社突破(2025年9月時点、拡大中) | 拡大中 |
| 強み | 組織文化の醸成・研修あり | 導入の手軽さ |
導入のメリットとデメリット
実際に備品化を導入した企業や社員の声をもとに、率直にまとめます。
メリット
- 急な生理でも作業を中断せずに済む
- 「誰かに聞かなくていい」という安心感
- 全社員の相互理解が深まり業務が円滑化する
- 会社への信頼感・帰属意識が高まる
- 建設現場など外出しにくい職場でも使える
気になる点
- ナプキン購入費用は企業負担
- 補充の管理ルールを決める手間がある
- 女性が少ない職場では導入提案しにくいことも
- 全社員への周知・説明が必要
よくある疑問にお答えします
費用はどのくらいかかりますか?
収納ボックスやディスペンサーは無償提供。ナプキン代は利用人数・頻度によりますが、月数百円から数千円程度が目安です。
小規模な職場でも導入できますか?
はい。2社のサービスとも企業規模の制限は設けていません。社員数十名規模の企業でも導入事例があります。
どうすれば職場に導入を提案できますか?
経産省の試算データや導入事例をまとめて人事・総務担当者に相談するのが第一歩です。花王・ユニ・チャームの公式サイトから資料請求もできます。
学校でも使えますか?
花王は「学校のロリエ」としても展開しています。実習中に私物を持ち込めない医療系大学などでも活用が広がっています。
ナプキンを持ち帰る人が出てこないか心配です
先行導入企業からの報告では、持ち帰りや乱用は極めて少ないとされています。花王の導入企業約95%が継続を希望していることが、運用上の問題が少ないことを示しています。急な生理への備えとして使われるものであり、日常的に持ち帰るインセンティブは生まれにくい性質の備品です。
今日からできる3つのアクション
備品化が職場に広がるまでの間にも、あなた自身を守るためにできることがあります。
1. 制度が整うまでの「自己防衛」として備える
職場の設備が変わるまでの間、ポーチに薄型ナプキンを1枚忍ばせておくのは現実的な自衛手段です。これは個人の責任ではなく、インフラが追いついていない現状への暫定的な対応として捉えてください。生理予定日の前後はおりものシートを活用するのも有効です。
2. 職場の担当者に相談してみる
「こういうサービスがあるようですが、検討してもらえますか?」と人事・総務へ一言伝えるだけで動き出す職場は少なくありません。この記事や経産省の試算データを参考資料として活用してみてください。
3. 周囲と「話せる空気」を作る
備品化の大きな副産物は、職場全体が生理を「隠すもの」ではなく「理解するもの」として扱える雰囲気が生まれることです。男性上司や同僚との対話のきっかけとして、今日の国際女性デーにこの話題を持ち出してみるのもよい機会です。
あなたが「困らなくていい」社会へ
トイレに入るたびに「もしナプキンがなかったら」と不安になる。そのストレスを、これまでずっと当たり前のように一人で抱えてきた女性がたくさんいます。でも、それは本来「個人が気をつけること」ではなく、職場が解決すべきことだったのかもしれません。
花王の担当者はこう語っています。「困ったときに、生理用品がそっと置いてある状態を普通にしていきたい」。この言葉がすべてを表していると思います。大げさな制度改革でも、声を大にして訴えることでもない。ただ、トイレにナプキンが置いてあるだけで、誰かの一日がずっと楽になる。そんなシンプルな話なのです。
国際女性デーのこの機会に、あなたの職場でもその小さな「当たり前」を、ひとつ増やしてみませんか。
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