裁量労働制とは?2024年改正内容と
今後の見直しを解説【2026年2月最新】
裁量労働制とは、実際の勤務時間ではなく「みなし時間」で賃金を計算する働き方の制度です。2024年4月の改正で本人の同意が必須になり、2025〜2026年にかけては対象範囲を含む見直し議論が厚生労働省の労働政策審議会で続いています。あなたの働き方に直結するこの制度、いま知っておくべきことをまとめました。
裁量労働制は「残業代ゼロで働かせ放題」の制度ではありません。2024年4月からは、あなた本人の同意なしに会社が適用することが法律で禁止されました。同意を断っても不利益を受けることは禁止されており、一度同意した後でも撤回手続きが義務付けられています。
この制度が自分に適用されているか分からない方、同意した覚えがない方は、この記事を読んで今すぐ確認してください。
- 同意の義務化:会社は労働者本人の同意なしに裁量労働制を適用できなくなった(2024年4月〜)
- 撤回手続きの義務化:同意書には撤回できる手順を定めることが必須。撤回後は労使協定・就業規則に従い適用を解除する義務がある
- 健康確保措置の明確化:面接指導・勤務間インターバル確保など、会社が講じるべき措置の選択・実施義務が明確化された
2025〜2026年にかけて、労働政策審議会(厚生労働省の審議機関)で裁量労働制の対象範囲を含む見直し議論が続いています。今後、対象範囲や運用ルールが変更される可能性があります。最新情報は厚生労働省の公式発表をご確認ください。
そもそも裁量労働制とはどんな制度?
「よく聞くけど、仕組みがよくわからない」という方のために、制度の基本を押さえます。
裁量労働制とは、実際に何時間働いたかに関係なく、あらかじめ決めた「みなし時間」を働いたものとして賃金を計算する仕組みです(労働基準法第38条の3・第38条の4)。たとえば「1日8時間とみなす」と決めれば、実際に10時間働いても6時間で帰っても、賃金の計算は同じ8時間分になります。
ただし、深夜(午後10時〜午前5時)と法定休日に働いた場合の割増賃金は、裁量労働制でも必ず支払義務があります(労働基準法第37条)。「裁量労働制=残業代ゼロ」は誤解です。
2種類の制度と適用対象
| 比較項目 | 専門業務型 (SE・研究職など) | 企画業務型 (本社の企画職など) | 通常の時間労働 |
|---|---|---|---|
| 対象者 | SE・研究職・コピーライター・M&Aアドバイザーなど告示で定められた業務(現在20業務) | 本社等の企画・立案・調査担当 | 制限なし |
| 本人の同意 | 必要(2024年〜) | 必要 | 不要 |
| 同意の撤回 | 手続き定めが義務 | 手続き定めが義務 | — |
| 手続きの複雑さ | 労使協定 + 労基署届出 | 労使委員会 + 5/4以上の賛成決議 | なし |
| 深夜・休日割増賃金 | 支払義務あり | 支払義務あり | 支払義務あり |
2024年4月の改正:何がどう変わったのか(一次情報準拠)
2024年4月1日施行の改正は、制度を「企業が自由に使える仕組み」から「同意と健康配慮を前提とする仕組み」へと大きく転換させました。
- 本人同意の義務化:会社が勝手に適用できなくなった(労基法38条の3・38条の4)
- 同意の撤回手続きの義務化:同意書に撤回できる手順を定めることが必須。撤回後は速やかに適用解除
- 不利益扱いの明確な禁止:断っても・撤回しても、元の労働条件が維持される
- 健康確保措置の明確化:面接指導・インターバル確保・労働時間上限措置など、会社が講じるべき措置の選択・実施義務が明確化
- M&Aアドバイザーが対象業務へ追加:告示で定める専門業務が19→20業務に拡大
出典:厚生労働省「裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です」(PDF)/厚労省公式:裁量労働制ページ
「残業代ゼロ」「断れない」は誤解――3つの正しい知識
制度の誤解が、不当な扱いを黙認することにつながります。正確な知識が自分を守ります。
みなし時間の範囲での時間外割増は発生しませんが、深夜(午後10時〜午前5時)と法定休日に働いた場合の割増賃金は、裁量労働制でも必ず支払われます(労働基準法第37条)。深夜・休日の手当が出ていない場合は、違法となる可能性があります。
専門業務型は厚生労働省告示で定められた業務(現在20業務:システムエンジニア・研究職・コピーライター・M&Aアドバイザーなど)に限定されており、会社が自由に対象職種を広げることはできません。企画業務型も「本社等での企画・立案・調査・分析業務」に限られます。「自分の仕事はこれに本当に当てはまるか?」を確認することが大切です。
2024年の改正により、裁量労働制の同意書には「撤回の手続き」も定めることが義務付けられました。会社は撤回できる窓口と手順をあらかじめ設ける必要があり、撤回した場合は速やかに適用を解除しなければなりません。撤回を理由にした不利益扱いも禁止されています。具体的な撤回手順は会社の就業規則・同意書で確認しましょう。
2025〜2026年の議論:制度はどこへ向かうのか
2024年改正で手続きが厳格化された一方、「より広い職種に適用を拡大すべき」という議論も並行しています。
厚生労働省の労働政策審議会では、2025年から裁量労働制の対象範囲の拡大を含む法制見直しの議論が続いています。経済界からは「より広いホワイトカラー職種へ拡充すべき」という要望が出されている一方、労働者側からは「実労働時間の把握が難しくなり、長時間労働の温床になりかねない」という懸念の声があがっています。
2026年2月執筆時点では、国会提出法案一覧に裁量労働制改正案は確認されておらず、内容・施行時期ともに未確定です。公益委員(第三者の専門家)からは現行制度の実態把握を先行させることを求める慎重論も出ており、最終像は決まっていません。
- 自分のペースで働ける職種が増える
- 成果主義・実力主義との相性がよい
- グローバル競争力の強化につながる
- 副業・兼業との両立がしやすくなる
- 「裁量がない仕事」なのに適用される恐れ
- 実労働時間が把握されず長時間化する
- 残業代がゼロになる人が増える可能性
- 健康被害・過労死リスクが高まるという懸念が指摘されています
あなたが抱えやすい5つの疑問に答えます
「自分には関係ある?」「嫌なら断れる?」など、働く人が気になるポイントをQ&A形式でまとめます。
今すぐできる3つの確認ステップ
制度を理解したら、実際の自分の状況を確認しましょう。
- 自分の雇用契約書・就業規則を確認する 「裁量労働制」の記載の有無と、みなし労働時間(例:1日8時間)を確認しましょう。2024年以降、同意書の有無も重要な確認ポイントです。
- 深夜・休日の割増賃金が支払われているか確認する 給与明細を見て、深夜・休日に働いた際に「深夜割増」「休日割増」が計上されているか確認します。計上がない場合は会社に問い合わせを。
- 業務内容が対象要件に当てはまるか確認する 自分の仕事が本当に「自分で時間配分を決められる業務」かを振り返ります。実態が合わないと感じる場合は、まず会社の担当部署への相談を検討しましょう。
- 裁量労働制は「企業優位の制度」から「同意と健康配慮を前提とする制度」へと強化された(2024年4月〜)
- 同意の義務化・撤回手続きの義務化・不利益扱いの禁止が明文化。会社が勝手に適用・継続することは法律違反
- 深夜・休日の割増賃金は支払義務あり。「残業代ゼロ制度」は誤解(労基法第37条)
- 2026年2月執筆時点では、対象拡大の法改正案は国会未提出。議論は継続中で内容・時期は未確定
- 根拠:厚生労働省公式資料(2024年4月施行版)
裁量労働制は、使い方次第で「自分らしい働き方を実現できる制度」にも、「長時間労働の温床になる制度」にもなりえます。
最大の防衛策は、自分の権利を知ることです。同意は断れる、撤回手続きが義務付けられている、深夜・休日の手当は受け取れる――この3点を知っているだけで、職場でのトラブル対応が大きく変わります。
労使ともに議論が続くこの制度の行方は、あなた自身の働き方にも影響します。厚生労働省の公式情報で定期的に最新情報をチェックするようにしましょう。
この記事をブックマークして、就業規則を確認する前や会社との面談前に見返しましょう。
裁量労働制は拡大議論が続いていますが、現行制度では「本人同意と健康配慮」が法的前提です。
本記事の制度情報は厚生労働省公式資料(2024年4月施行版)をもとに作成。2026年2月18日確認。
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