金利がたった1%上がるだけで、消費税5%分の負担が増える――この事実、知っていますか?
2025年末、国の借金が過去最大の1342兆円を突破しました。そして今、長期金利は27年ぶりの高水準。この2つが重なったとき、あなたの住宅ローン、年金、日々の暮らしに何が起きるのか。
この記事では、巨額の数字を「あなたの家計」に読み替えながら、国の借金の意味、生活への影響、他国との比較、そして今日からできる防衛策をわかりやすく解説します。
— 数値についてのご注意 —
この記事で使用している数値は、2026年2月10日に財務省が発表した2025年12月末時点のデータに基づいています。国の借金総額は四半期ごとに更新されるため、最新の数字は財務省の公式サイトでご確認ください。また、長期金利や為替レートは日々変動しています。
まず数字で全体像をつかもう
ニュースの数字を、もう少し身近な単位に分解してみます。
(2025年12月末時点)
単純計算した場合
に対する借金の大きさ
9月末比8兆5806億円増加、前年末比約24兆円増で過去最大を更新しました。内訳で最も大きいのは国債(約1197兆円)で、そのうち普通国債だけでも1094兆4874億円に達しています。
国の借金はこう増えてきた
出典:財務省「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」各年データより作成。2026年は見込額。
ちなみに2026年3月末にはさらに膨らみ、1473兆円に達する見込みとされています。20年で2倍以上に膨れ上がっていることが視覚的にわかります。
そもそも「国の借金」ってどういうこと?
よく耳にするフレーズですが、正確に理解している人は意外と多くありません。
「国の借金」の正体は3つの合計
財務省が発表する「国の借金」とは、国債・借入金・政府短期証券という3種類の合計額です。国が事業を行うために必要なお金が税収だけでは足りないとき、国は「国債」という名前の借用書を発行してお金を集めます。
この国債が借金の大部分(約1197兆円)を占めています。残りの借入金(約44兆円)と政府短期証券= 一時的な資金繰り用の短期借入(約100兆円)を足した合計が1342兆円です。
「国民1人あたり約1090万円の借金」は誤解を招きやすい
報道ではよく「国民1人あたり約1090万円」と表現されます。しかしこれは借金の総額を人口で割っただけの数字です。あなた個人が1090万円を返済しなければならないわけではありません。
借金をしているのは「政府」であり、国民は国債を通じてむしろお金を貸している側にあたります。国債の大部分は国内の金融機関や日本銀行が保有しているためです。
では、なぜ問題なのか?
だからといって安心できるわけではありません。借金には利息がかかります。2026年度予算案では、国債の返済や利払いにかかる「国債費」が過去最大の31兆2758億円に達しました。
この金額は防衛費や文教予算を大きく上回ります。利払いが増えれば増えるほど、国民の生活を支える予算が圧迫されるのです。
あなたの暮らしに関わる3つの影響
大きな数字の話を、日常生活のレベルに落とし込んで考えてみましょう。
影響1:住宅ローン・借入金利が上がる
国の財政悪化への懸念から長期金利が上昇しています。10年物国債利回りは2026年1月に一時2.38%台を記録し、約27年ぶりの高水準になりました。
長期金利が上がると住宅ローンの固定金利にも波及します。これから家を買おうとしている人は返済総額が大きく変わる可能性があります。
金利が0.5%上がると、月々の返済額は約6,000〜7,000円増加します。1%上がれば月1万円以上の負担増になり、35年間の総返済額は200万円以上膨らむ計算です。変動金利で借りている方は、下のシミュレーターで試算してみてください。
影響2:社会保障サービスの縮小リスク
国の借金の利払い費が増えると、そのぶん他の支出を減らさざるを得ません。高齢化が進む日本では社会保障費= 医療・年金・介護にかかる国の支出が年々増加しています。
財政の余裕が失われると、将来の医療費負担の増加や年金支給額の見直しといった形で生活に影響する可能性があります。
影響3:将来世代への負担の先送り
今の世代が受ける行政サービスのために発行された国債の返済は、最終的には将来の税金で賄うことになります。
少子高齢化で働く世代が減っていく中で借金だけが増え続ける構造は、子ども世代や孫の世代の負担をじわじわと大きくしていきます。
世界と比べた日本の借金はどの位置?
IMFの推計データをもとに、主要7か国(G7)で比較してみます。
| 国名 | 政府総債務残高 (対GDP比) | ひとこと解説 |
|---|---|---|
| 日本 | 約236% | G7で最悪。2位イタリアの約1.7倍 |
| イタリア | 約135% | 欧州債務危機で注目された国 |
| アメリカ | 約122% | 世界最大の経済規模だが借金も巨額 |
| フランス | 約113% | 社会保障の手厚さが財政を圧迫 |
| カナダ | 約111% | コロナ後に急増 |
| イギリス | 約101% | GDPとほぼ同額 |
| ドイツ | 約63% | 財政規律で知られる優等生 |
出典:IMF World Economic Outlook(2025年10月版)、2024年データ
GDP比を視覚的に比べてみると
日本のGDP比約236%という数値は、2位イタリアの約135%を大きく引き離して先進国で最悪の水準です。
ただし注意点があります。政府の資産(年金積立金や外貨準備など)を差し引いた「純債務」= 総借金から政府の金融資産を引いた正味の借金で見ると、日本とイタリアの差はかなり縮まります。つまり日本は借金も多いが、資産も多いという面があるのです。
とはいえ、年金積立金は将来の年金支給のためのお金であり、借金返済に安易に充てられるものではありません。「資産があるから安心」とは言い切れないのが実情です。
このまま借金が増え続けても大丈夫なのか?
楽観論と悲観論、両方の主張をバランスよく整理します。
「まだ大丈夫」とする意見
- 国債のほとんどが国内で消化されており、海外への依存度が低い
- 日本は世界最大の対外純資産国= 海外に持つ資産から負債を引いた「貯金」であり、外国に対しては「貸している側」
- 日本銀行が大量に国債を保有しており、急激な信用不安が起きにくい
- 円建ての借金なので、理論上は通貨発行で対応が可能(ただし副作用あり)
「危険信号」とする意見
- 金利上昇で利払い費が急増し、財政の自由度がなくなる
- 少子高齢化で税収の伸びが限られる一方、社会保障費は増え続ける
- 通貨を大量に発行すれば激しいインフレを招き、国民の資産価値が下がる
- 海外投資家の保有比率が上昇傾向にあり、信認低下のリスクがゼロではない
どちらの意見にも根拠があり、「絶対に安全」とも「すぐに危機が来る」とも言い切れないのが現状です。ただし共通して言えるのは、金利が上がると状況は急速に悪化するということです。長年のゼロ金利環境では利払い負担が軽かった日本ですが、金利上昇局面に入った今、巨額の借金が重荷になるスピードは加速しています。
今後の財政シナリオ:3つのパターン
| 楽観シナリオ:経済成長で税収増 | |
|---|---|
| 想定条件 | 名目GDP成長率3%以上、賃金上昇が持続、税収が大幅増加 |
| 見通し | プライマリーバランス= 借金以外の収入で政策経費を賄えているかの指標が黒字を維持し、債務残高のGDP比は緩やかに低下 |
| 中立シナリオ:現状維持 | |
| 想定条件 | 成長率1〜2%前後、金利は緩やかに上昇、社会保障費の増加が続く |
| 見通し | 借金は増え続けるが、急激な危機には至らない。ただし財政の自由度はさらに低下 |
| 悲観シナリオ:金利急騰+景気停滞 | |
| 想定条件 | 金利3%超、景気後退による税収減、海外投資家の国債離れ |
| 見通し | 利払い費が急膨張し、増税や社会保障の大幅カットが避けられない状況に |
現時点では中立シナリオが最も可能性が高いとされていますが、金利動向や政策次第で楽観にも悲観にも振れ得ます。だからこそ、個人レベルでの備えが重要なのです。
「1%の衝撃」を知っておこう――金利感応度とは
金利感応度= 金利が動いたとき、利払いがどれだけ変化するかの度合いという考え方があります。国の借金約1342兆円に対して金利が1%上がると、年間の利払い費は計算上13兆円以上増える可能性があります。
これは消費税約5%分に相当する規模です。つまり、金利がたった1%動くだけで、消費税を5%上げたのと同程度の財政負担が発生しうるのです。
年収600万円の家庭に置き換えると、住宅ローン残高が年収の2.3倍にあたる約1380万円。金利が1%上がれば、年間の利息負担が約14万円増える計算です。毎月の手取りから約1.2万円が余分に消える感覚に近いと言えます。
2026年度予算の国債費31兆2758億円は、すでに防衛費や文教予算を上回る規模です。金利上昇が続けば、この負担はさらに重くなります。
今日からできる「自分を守る」アクション
国の財政はすぐには変えられませんが、自分の家計を守る備えはできます。
家計の「金利リスク」を見直す
住宅ローンを変動金利で借りている方は、金利上昇時にどのくらい返済額が増えるかシミュレーションしてみましょう。以下のツールで簡易試算ができます。
住宅ローン金利上昇シミュレーター
あなたのローン残高と現在の金利を入力して、金利上昇時の月々の負担増を確認できます。
社会保障制度の変化にアンテナを張る
年金制度や医療費の自己負担割合は、財政状況に応じて見直されます。「制度が変わってから慌てる」のではなく、NISA= 少額投資非課税制度やiDeCo= 個人型確定拠出年金など自助の資産形成を早めに始めることで、将来のリスクに備えることができます。
選挙で「財政」に注目する
国の借金は国会で決まる予算の積み重ねです。選挙のときに、各党の財政に関する方針を確認する習慣をつけましょう。
減税や給付金といった「もらえるお金」だけでなく、その財源がどこから来るのかもセットで考えることが大切です。
よくある疑問Q&A
読者から多い質問に、端的にお答えします。
この記事の要点チェックリスト
- 国の借金は2025年末時点で過去最大の1342兆1720億円。9月末比8兆5806億円増加
- 「国民1人あたり約1090万円」は単純計算であり、個人の返済義務ではない
- 日本のGDP比約236%はG7で最悪だが、資産も多い点は考慮が必要
- 金利上昇局面では利払い費が急増し、社会保障や行政サービスに影響する可能性がある
- 2026年度の国債費は過去最大の31兆2758億円で、財政の圧迫が顕著
- 住宅ローン金利や社会保障の変化に備え、個人の資産形成を検討しよう
まとめ:不安を「行動」に変えよう
1342兆円という数字は途方もなく大きく、不安を感じるのは当然です。しかし、「怖い」で終わらせてしまうのはもったいないことです。
大切なのは、この数字の背景にある仕組みを理解し、自分の家計に影響しうるポイントを把握し、できることから備えを始めることです。国の財政問題はすぐに解決するものではありませんが、あなた自身の生活を守る行動は、今日から始められます。
まずは家計の棚卸しから始めてみてはいかがでしょうか。
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