「なぜ中東がこんなことに?」今日起きたことを10分で理解する
2026年2月28日、米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃を開始しました。イランもすぐに報復し、中東各地の米軍基地にミサイルを発射。「遠い話」に見えますが、日本の原油の9割以上は中東から来ています。ガソリン代や物価への影響が懸念されています。
SNSに飛び交う断片情報より、正確な全体像をわかりやすくお伝えします。
この記事でわかること:なぜ攻撃が起きたか / 現地の状況 / 日本への影響この記事は2026年2月28日19:00時点の報道に基づきます。状況は変化中のため、最新情報は下記でご確認ください。
湾岸の国の数 イラン革命防衛隊(イランの精鋭軍事組織)発表・各国メディア
前日比+2.8%・7か月ぶり高値 日本経済新聞 2/28付
中東依存度(2025年実績) 経済産業省 石油統計速報
なぜ今、攻撃に至ったのか
今回の攻撃は「突然の出来事」ではありません。2026年に入ってから3度にわたって核協議(核開発を制限する外交交渉)が行われましたが、いずれも合意に至りませんでした。米国・イスラエル側は「イランの核・ミサイル開発を止めるため」と説明していますが、これはあくまで攻撃側の主張です。
- 2月6日(オマーン):第1回協議。対話ムードが生まれるも具体的な合意なし
- 2月17日(第2回):核開発の制限方法をめぐり双方の立場が対立。隔たり拡大
- 2月26日(スイス・ジュネーブ):第3回協議。米国代表団が「失望」して離脱。交渉決裂
- 2月28日:米・イスラエルが軍事攻撃を開始
2015年の核合意からトランプ政権の2018年離脱、2025年の衝突、そして今回と、米国とイランの対立は長年にわたって積み重なってきました。3度の交渉が失敗に終わり、軍事行動に踏み切った形です。
今日、何が起きたのか
2月28日朝(現地時間)、米・イスラエルがイラン各地を攻撃。イランはすぐに反撃し、周辺国に展開する米軍基地へのミサイル攻撃で応じました。
イランが攻撃した4カ国の状況
イランは報復として、湾岸4カ国に駐留する米軍基地をミサイルで攻撃しました。
| 国名 | 主な米軍施設 | イランとの距離 | 状況 | 被害 |
|---|---|---|---|---|
| バーレーン | 米海軍第5艦隊司令部 | 約200km(海峡越え) | 攻撃確認 | 施設付近で黒煙(ロイター) |
| UAE(アブダビ) | 米軍関連施設 | 約700km | 一部迎撃 | 民間人1名死亡(UAE国防省・CNN報道) |
| カタール(ドーハ) | アルウデイド空軍基地(中東最大) | 約500km | 全弾迎撃(ミサイルを空中で破壊) | 全ミサイルを迎撃・無力化(カタール国防省公式発表) |
| クウェート | 米軍基地 | 約500km | 攻撃報告あり | 詳細確認中 |
バーレーンはイランとペルシャ湾をはさんだ対岸にある国で、距離は東京〜静岡間に相当する約200kmです。その至近距離に中東の海上作戦を統括する第5艦隊司令部があり、最初の標的になりました。
日本への影響は?
原油価格はどう動く?
前日比+2.8%
金融機関による試算レンジ
日本GDP(国内総生産=国の経済規模)押し下げ試算
ガソリン価格は原油の変動が国内に反映されるまで通常2〜4週間かかります。現時点ではホルムズ海峡は封鎖されておらず、日本には254日分の石油備蓄もあります。ただし情勢がエスカレートすれば、ガソリン・電気・食品など幅広い物価に影響する可能性があります。
現時点で深刻でない点
- 在留邦人の直接被害は確認されていない(外務省)
- ホルムズ海峡は現時点で未封鎖
- 日本には254日分の石油備蓄がある
- サウジアラビアが万一に備えた増産計画を準備(ロイター 2/25)
懸念されるリスク
- 原油高騰でガソリン・電気代が数週間以内に影響
- バーレーン・クウェートが領空閉鎖。中東・欧州便の迂回の可能性
- ホルムズ封鎖なら金融機関は原油90〜110ドル超を試算
- 長期化すれば日本GDP(国内総生産=国の経済規模)に最大3%の下押しリスクとの試算
ペルシャ湾とオマーン湾をつなぐ幅わずか約30〜50kmの海峡。世界の石油輸送量の約20%(日量2,090万バレル)がここを通過します。日本向けタンカーの約8割が経由しており、封鎖されれば国内エネルギー供給に深刻な打撃になります。ただしイラン自身も輸出をこの海峡に依存しており、封鎖は「自分も傷つく諸刃の剣」ともいわれています。
戦争はどこまで広がるのか
今回の衝突が「米・イスラエル対イラン」の二国間にとどまらず、地域全体を巻き込む大規模な戦争に発展するリスクが、専門家の間で強く懸念されています。
- ヒズボラ(レバノン):イランと強い同盟関係にあるレバノンの武装組織。過去の衝突でもイランと連動して動いており、イスラエル北部への攻撃参加が懸念される
- フーシ派(イエメン):紅海での船舶攻撃を続けてきたイエメンの武装勢力。今回の攻撃でも参戦の動きが一部で報告されており、紅海・スエズルートへの影響が出る可能性がある
- イラク・シリアの親イラン勢力:両国には多数の親イラン武装組織が存在し、米軍基地への散発的な攻撃が再開される可能性がある
- 中国・ロシアの動向:両国はイランとの経済・外交関係が深く、米国への対抗姿勢を強める可能性がある。特に中国はイラン産原油の最大の買い手であり、制裁への対応が注目される
2025年6月にも米・イスラエルによるイランへの攻撃(12日間)がありましたが、当時はイランの報復が限定的で、ホルムズ海峡も閉鎖されませんでした。今回は攻撃規模が大きく、イランが即座に複数国の米軍基地を標的にしており、報復の連鎖が止まらない「エスカレーション(段階的な激化)」に陥るリスクが前回より高いと専門家は指摘しています。
拡大を抑える要因
- 湾岸諸国(サウジ・UAE等)は経済的損失を避けたく、仲介に動く可能性がある
- 中国もイランへの肩入れより自国経済への影響を優先するとみられる
- 米国内でも議会から「議会承認なき宣戦」への批判が出ており、全面戦争には政治的ブレーキがある
- イランは核兵器を保有しておらず、通常兵器での戦力差は大きい
拡大を招く要因
- イランが「赤い一線はない」と宣言し、全アメリカ・イスラエル資産を標的と明言
- ヒズボラ・フーシ派・イラク勢力が連動して動けば、前線が一気に複数に広がる
- 誤爆や民間人被害が増えれば、イランの世論が強硬化し収束が困難になる
- 指導者(ハメネイ師)の安否が不明なため、指揮系統が混乱する可能性がある
よくある疑問
まとめ — 今日の5つのポイント
- 米・イスラエルが2/28、イランへ軍事攻撃。米側作戦名「エピック・フューリー」(国防省公式発表)。イスラエル国防相カッツ氏が先制攻撃を宣言
- 3度の核交渉(2/6・2/17・2/26)がすべて決裂した後の攻撃。外交の行き詰まりが背景
- イランが湾岸4カ国の米軍基地に報復。UAEで民間人1名死亡(UAE国防省・CNN報道)
- WTI原油(米国産原油の国際価格指標)は攻撃前夜に67.02ドル(前日比+2.8%)。ホルムズ封鎖が続く場合、金融機関は90〜110ドルの試算を示している
- 日本の原油輸入の93.5%が中東依存、タンカーの8割がホルムズ通過。備蓄は254日分(2025年12月末時点)
最後に伝えたいこと
遠い国の出来事が、突然ニュースのトップを埋め尽くす。そういう一日が、また来てしまいました。
現地では今この瞬間も、普通に生活していた人たちが爆発の音を聞き、家族の安否を確認しようとしています。数字や地名の裏に、それぞれの日常があります。
日本にいる私たちへの影響は、まだ見えない部分も多いです。でも「わからない」まま不安だけが膨らむより、正確な情報を少しずつ確認しながら、落ち着いて状況を見守ることが、今できる一番大切なことだと思います。
SNSで流れてくる断片的な情報より、外務省や主要報道機関の一次情報を。sensationalism(センセーショナリズム)ではなく、事実を。それだけで、見える景色はずいぶん変わります。
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