山手線の車内でモバイルバッテリーが突然発火し、5人が軽傷を負った事故を覚えていますか?実はこの事故、「たまたま起きた不運な事故」ではありません。全国で同様の発煙・発火事故が年間約2万2千件も発生している現実があるのです。
そしてついに政府が動きました。来年4月から、私たちの生活に密着したあの製品たちの処分方法が根本的に変わることになったのです。
モバイルバッテリー回収義務化はなぜ今、政府が緊急措置に踏み切ったのか
数字が物語る恐ろしい現実。環境省の調査によると、2023年度だけでゴミ収集車や焼却場での発煙・発火事故が約2万2千件発生しています。これは1日あたり約60件、つまり24分に1回の頻度で事故が起きている計算です。
山手線事故の衝撃的な真実
2025年7月20日、山手線で発火したモバイルバッテリーについて、事実関係を整理すると以下のようになります:
確定事項:
• 発火した製品は「cheero Flat 10000mAh」(メーカー公式発表)
• この製品は2023年にリコール対象として回収が行われていた
• 山手線内で発火し、乗客5人が軽傷を負った
未確定事項:
• 事故原因が製品の設計上の欠陥によるものかは調査中
• リコール対象品であることを利用者が認識していたかは不明
この事故は、製品のリコール情報確認の重要性を改めて浮き彫りにしました。
この事故をきっかけに、政府は「もはや個人の注意だけに頼る段階ではない」と判断。製造メーカーに回収責任を義務付ける抜本的な制度改革に踏み切ったのです。
2026年4月から始まるリチウムイオン電池「回収革命」の全貌
法律は4月施行、対象3品目の運用は同施行に合わせて開始予定(政府方針・政令整備を経て確定)。リチウムイオン電池内蔵製品の回収・リサイクルが製造メーカーの義務となります。
• 携帯電話(スマートフォン)
• 加熱式たばこ機器
• ハンディファン
• コードレス掃除機
• 電気カミソリ
モバイルバッテリー処分方法の新ルール:あなたが今すぐ知るべきこと
リチウムイオン電池の処分方法:現在利用できる3つの選択肢
方法1: メーカー回収(最も確実)
製造メーカーが提供する回収サービスを利用。自社製品のみが対象で、送付時は絶縁処理と厳重な梱包が必要です。
デメリット: メーカーごとに手続きが異なる
方法2: JBRC加盟店への持ち込み
家電量販店など、JBRCリサイクル協力店での回収。ただし、膨張した製品やリサイクルマークのない製品は拒否される場合があります。
デメリット: 店舗によって対応が分かれる
方法3: 自治体回収
最終的な処分責任は自治体が負うことが明確化されています。ただし、自治体によって回収体制の整備状況に差があるのが現状です。
デメリット: 自治体によって方法が大きく異なる
モバイルバッテリー交換時期の見極め方:危険信号を見逃すな!
即座に処分すべき危険な状態
- 本体が膨張している – 内部でガスが発生している証拠
- リコール対象製品 – メーカーが危険性を認めた製品
- 異常な発熱 – 使用中に熱くなりすぎる
性能低下のサイン
スマートフォンと違い、多くのモバイルバッテリーには容量確認機能がありません。そのため、以下の変化で判断することが重要です:
- 充電時間が以前より長くかかる
- 充電してもすぐに残量がなくなる
- 使用中に熱を持ちやすくなった
専門家が推奨する交換時期の目安
充電サイクル300-500回が容量80%以下になる目安です。平日毎日使用する場合、1-2年での交換が推奨されています。モバイルバッテリーは消耗品であることを忘れずに、早めの処分を心がけましょう。
制度の盲点:まだ解決されていない問題
新制度導入により状況は改善されますが、まだいくつかの課題が残されています:
今後注目すべき追加指定品目
政府は段階的に対象製品を拡大する方針を示しています。特に注目すべきは以下の製品群です:
近い将来、回収義務化される可能性の高い製品
- ハンディファン – 流通量急増、海外製品が多く流通経路が不透明
- コードレス掃除機 – 電池取り外し困難な設計が多い
- 電気カミソリ – 長期使用による劣化リスク
これらの製品についても、メーカーには電池を取り外しやすい設計への変更が要請される見込みです。
あなたが今すぐできる3つのアクション
1. 現在所有している製品のリコール情報をチェック
製造メーカーの公式サイトで最新のリコール情報を確認しましょう
2. 古いモバイルバッテリーの性能を点検
充電時間や持続時間に変化がないか、定期的にチェックしましょう
3. 購入時の自衛策を実践
信頼できるメーカーの製品を選び、回収体制が整っているかを確認しましょう
リチウムイオン電池は私たちの生活を便利にする一方で、適切な管理と処分が不可欠な「諸刃の剣」でもあります。新制度の開始を機に、一人一人が「安全な電池ライフ」を実践することが、事故のない社会の実現につながるのです。
情報出典
主要情報源:
※本文中の事実は下記一次情報および報道資料をもとにしています
• 経済産業省発表(2025年8月12日審議会)
• 環境省「市町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策について」(2025年4月15日通知)
• 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)統計資料
• TBS NEWS DIG「リチウムイオン電池内蔵のモバイルバッテリーなど3品目 使用済み製品の回収を製造メーカーなどに義務づける方針」(2025年8月12日)
• 朝日新聞「モバイルバッテリーやスマホ、回収・リサイクル義務化へ 発火多発で」(2025年8月12日)
• 読売新聞「ハンディーファンの回収義務化検討、コードレス掃除機やカミソリも」(2025年8月11日)
• Yahoo!ニュース「実はかなり難易度が高い…モバイルバッテリーの『捨て時』の見極めと確実な『捨て方』【専門家が解説】」(2025年8月10日)
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