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はっさー
こんにちは、はっさーです
社会人から看護師になり今に至ります。楽しみながらブログ奮闘中です!

たった4時間で1万3700本が“失われた”——血液製剤大量使用不可事件が教える献血の真実

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血液製剤1万3000本が使用不可になった事件から学ぶ、医療現場を支える献血の真実
あなたは献血をしたことがありますか?

もしかしたら、献血車を街角で見かけても「時間がない」「なんとなく怖い」と素通りしてしまった経験があるかもしれません。でも、2025年7月15日に報道された東京都赤十字血液センターでの事件を知ったら、その考えが変わるかもしれません。

たった4時間の電源停止で、1万3700本もの血液製剤が使用不可に。

これは単なる機械の故障ではありません。誰かの命を救うために提供された大切な血液が、一瞬にして使えなくなってしまった深刻な事件なのです。

事件の全容:「たった4時間」が引き起こした深刻な結果

何が起きたのか?

2025年5月11日 午後10時30分頃
東京都江東区の赤十字血液センター辰巳供給出張所で、血液製剤を保管する冷凍庫の電源が突然落ちる
約4時間後
電源復旧。しかし保管基準温度(マイナス20度以下)を上回る状態が約2時間半続く
結果
新鮮凍結血漿(FFP)約1万3700本が輸血用として使用不可となる

原因は人為的ミス

驚くべきことに、この事件の原因は「人為的ミス」でした。冷凍庫の温度をコントロールする制御盤に、電圧規格の異なる端子台を誤って設置したことが原因だったのです。

前年に行われた工事で、委託業者が設備を誤って設置していたことが、数か月後に大きな問題を引き起こしました。

1万3700本という数字の重み

1.2% 年間供給量に占める割合
4時間 電源停止時間
2.5時間 基準温度を上回った時間
約2.6万単位 使用不可となった血液製剤量

「1万3700本」という数字を聞いても、その重みをなかなか実感できないかもしれません。でも、この数字には深刻な意味があります。

どれほど大きな損失だったのか

日本赤十字社の事業報告書によると、2024年度に医療機関に供給されたFFPは215万単位。今回の約1万3700本を換算すると約2万6300単位に相当し、年間供給数の約1.2%にあたる(参考:読売新聞オンライン、2025年7月15日)。

これは一日分の全国使用量の約15日分に相当する膨大な量です。血液製剤は保存期間が限られており、常に需要と供給のバランスが重要な分野であることを考えると、この損失の深刻さが理解できます。

新鮮凍結血漿(FFP)の重要性

新鮮凍結血漿は、単なる「血液」ではありません。これは以下のような重要な役割を担っています。

  • 血液凝固因子を含む重要な製剤
  • 大量出血時の輸血に使用される
  • 止血機能を回復させる役割を担う
  • 緊急手術外傷治療で欠かせない存在
  • 血液凝固障害のある患者の治療に不可欠
参考:日本血栓止血学会用語集、アトムメディカル株式会社

読売新聞の報道によると、「これほど多くのFFPが一度に使用不能になるのは異例だ」と関係者は話しており、今回の事件の深刻さを物語っています。つまり、この1万3700本は、文字通り「命を救う」ための貴重な資源だったのです。

献血の裏側:知られざる血液製剤の世界

この事件を通じて、普段あまり知られていない血液製剤の世界を覗いてみましょう。

血液製剤の種類と用途

血液製剤には主に以下の種類があります。

赤血球製剤:酸素を運ぶ役割。貧血や出血時に使用
血小板製剤:血液を固める役割。白血病などの治療に使用
新鮮凍結血漿(FFP):血液凝固因子を含む。大量出血時に使用

保存の難しさ

血液製剤の保存は極めて厳格です。以下のような条件が求められます。

赤血球製剤:2〜6度で最大42日間
血小板製剤:20〜24度で最大4日間(振盪保存)
新鮮凍結血漿:マイナス20度以下で最大1年間

今回の事件で問題となったのは、この「マイナス20度以下」という厳格な温度管理が破られたことでした。

幸いだった点と今後への影響

供給への影響は回避

幸いなことに、今回の事件で医療機関への納品に影響はありませんでした。これは以下の理由によるものです。

  • 在庫の適切な管理により、他の施設からの供給で対応できた
  • 迅速な対応により、医療現場への影響を最小限に抑えた

廃棄ではなく転用

使用不可となった血液製剤は廃棄されるのではなく、保管温度が高い別の血液製剤の原料に転用されます。これにより以下のような効果があります。

・完全な無駄は回避
・国内製薬会社向けの原料血漿として活用
・献血者の善意を無駄にしない取り組み

東京都赤十字血液センターは「代替のFFPを全国の在庫で融通することができ、医療機関への納品に影響はなかった」と強調しています(参考:読売新聞オンライン、2025年7月15日)。

献血への理解を深める:あなたにできること

献血の現状

500万人 年間献血協力者数
25%減 10〜30代の献血者減少率(10年間)
1日1.5〜2万人 必要な献血協力者数

日本では年間約500万人が献血に協力していますが、10代から30代の献血者数は、この10年で約25%も減少しています(参考:政府広報オンライン)。日本輸血・細胞治療学会によると、献血に協力される方々は一日15,000人から20,000人におよび、これは人口の4.1%、16歳から69歳の献血可能人口の約6%に相当します。

少子高齢化により献血者数は減少傾向にあり、若い世代の協力がますます重要になっています。

あなたができること

献血で社会貢献

  • 定期的な献血:健康な成人なら年に数回の献血が可能
  • 献血への理解:血液製剤の重要性を周囲に伝える
  • 適切な生活習慣:献血できる健康状態を維持する

再発防止への取り組み

厚生労働省の対応

福岡厚生労働大臣は記者会見で以下のように述べました。

「献血者の善意による貴重な血液製剤」と表現し事態の深刻さを強調
速やかな報告を強く要請
再発防止策の徹底を求める
血液製剤の安定供給のための連携強化

また、日本赤十字社内部で対応を検討していたために報告が遅れたとして「今後、こうした事案は速やかに報告するよう要請した」と述べました(参考:時事通信、2025年7月15日)。

日本赤十字社の対応

  • 血液製剤の管理徹底
  • 設備点検の強化
  • 委託業者への指導強化
  • 各都道府県の血液センターへの情報共有と管理徹底の指示
  • 国内11か所の製造施設でのFFP製造強化
参考:読売新聞オンライン、日本経済新聞(2025年7月15日)

まとめ:一滴の血液に込められた思い

今回の事件は、私たちに重要なことを教えてくれます。

献血は単なる「社会貢献」ではなく、誰かの命を直接救う行為です。そして、その貴重な血液を管理する医療現場では、24時間365日、厳格な管理体制が求められています。

1万3700本の血液製剤が使用不可になった事件は確かに深刻です。定期的に献血をしている多くの方々の善意が、このような事故で無駄になってしまうことは、本当に残念でなりません。しかし、この事件を通じて、私たちは献血の重要性と、それを支える医療システムの複雑さを改めて認識することができました。

あなたの一滴の血液が、誰かの命を救う。

次に街角で献血車を見かけたら、少し立ち止まって考えてみてください。あなたの小さな行動が、医療現場で働く人々の努力と結びついて、確実に誰かの命を救っているのです。

この記事を読んで献血について考えるきっかけになったら、ぜひ周りの人にもシェアしてください。そして、健康状態が許すなら、次回の献血にご協力いただけると嬉しいです。

参考資料・出典
・厚生労働省 血液事業統計
・日本赤十字社 血液事業本部
・政府広報オンライン「献血は命をつなぐボランティア」
・一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
・時事通信、読売新聞、日本経済新聞(2025年7月15日報道)

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