「今回の選挙、結局どこに投票すればいいの?」。2026年2月8日の投開票を前に、そんな戸惑いを感じている方は少なくないはずです。自民党と維新の与党が300議席超えの勢い。一方、立憲民主党と公明党が合流した新党「中道改革連合」は公示前167議席から半減の可能性。大きく動いた政治の構図を、NNN・FNN・共同通信など各社の情勢データを使って、投票の参考になるよう分かりやすくお伝えします。
この記事は2026年2月6日時点の各社終盤情勢調査に基づいています。情勢調査は「今の傾向」を示すもので、実際の選挙結果を確定するものではありません。小選挙区の投票先未定者は約2〜3割おり、最終結果は投票日まで変わる可能性があります。
本記事で引用する主な調査の概要:「読売新聞・NNN総合調査」(2/3-5、電話+ネット)、「共同通信全国電話世論調査」(1/31-2/2、電話、回答約19.4万人)、「FNN合同世論調査」(選挙期間中に計3回の電話調査+取材)。調査方法や時期が異なるため、数値に幅が生じます。
2月8日は全国的に大寒波の予報が出ており、JR西日本は一部路線で始発からの運転取りやめの可能性を発表しています。期日前投票は前日の2月7日まで利用できます。天候が心配な方は早めの投票をご検討ください。
各社データが示す「与党圧勝」の全体像
複数の報道機関の情勢調査を並べると、傾向は明確です。ここではNNN(読売)、FNN(産経)、共同通信のデータを比較します。
各社総合
FNN/共同
各社共通
自民党の「V字回復」を数字で見る
自民党の比例投票先は、調査機関によって幅がありますが、いずれも回復傾向を示しています。NNN(読売新聞)の終盤情勢調査では約33%、共同通信のトレンド調査(1月31日〜2月1日)では36.1%に達しました。FNNの調査でも自民が3割台後半で最多です。
この数字の意味を実感するために、過去の選挙と比べてみましょう。2024年の石破政権下での衆院選では27%、2025年の参院選では22%でした。それが今回33〜36%に回復したわけですから、「高市効果」と呼ばれる変化がデータにはっきり表れています。2021年の岸田政権下での衆院選(比例得票率35%、獲得261議席)に匹敵する水準です。読売新聞・NNN総合調査(2/3-5)共同通信 全国電話世論調査(1/31-2/2)
中道改革連合の「1+1が2にならない」問題
中道改革連合は2026年1月16日、立憲民主党と公明党の衆議院議員が「中道改革」の旗印のもとに結集して結成した新党です。結党時の所属議員は、立憲から144人、公明から21人の計165人(1月22日の結党大会時点。なお、追加公認等を含め公示前勢力は167議席と報じられています)。共同代表は野田佳彦氏と斉藤鉄夫氏が務めています。
しかし、各社の調査で「中道に投票する」と答えた人はNNNで約17%、共同通信で13.9%にとどまっています。2024年衆院選での立憲(21%)と公明(11%)を足した32%と比べると、大きく目減りしている形です。FNNの終盤情勢では議席予想は90議席台が軸で、公示前の半数以下になる可能性も指摘されています。読売新聞・NNN総合調査(2/3-5)共同通信 全国電話世論調査(1/31-2/2)FNN合同世論調査(2/6)
選挙コンサルタントの大濱崎卓真氏は「新党でありながら顔ぶれが変わらない矛盾」が苦戦の本質だと指摘しています。旧立憲側は旧公明の学会票を意識し、旧公明側は旧立憲の護憲層への配慮を優先する。この「お互いに気を使いすぎる構造」が、浮動票や無党派層に響くメッセージを打ち出せない最大の要因だと分析しています。
各党の終盤情勢を複数社データで比較する
報道各社の予測には幅があります。一社だけの数字ではなく、複数社を見比べることが大切です。
| 政党名 | 公示前 | NNN予測 | FNN予測 | 共同予測 | 傾向 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自民党 | 198 | 261超の勢い | 270台が軸 | 単独過半数超 | 大幅増 |
| 日本維新の会 | 34 | 確保が微妙 | 30台前半 | 公示前下回る | 横ばい〜減 |
| 中道改革連合 | 167 | 100割れ可能性 | 90台が軸 | 大幅減 | 大幅減 |
| 国民民主党 | 27 | 確保ギリギリ | 20台後半 | 届くか微妙 | 横ばい |
| 参政党 | 2 | 比例で大幅増 | 10前後 | 2桁議席 | 躍進 |
| チームみらい | 0 | 比例2桁も | — | 複数議席 | 躍進 |
| 共産党 | 8 | 確保厳しい | 伸び悩み | 8前後 | 苦戦 |
| れいわ新選組 | 8 | 大幅減 | 減の公算大 | 浸透見られず | 苦戦 |
注目すべきは新興勢力の動きです。参政党は前回衆院選の2議席から10議席前後への大幅増が見込まれ、チームみらいは衆議院で初めての議席獲得を目指し、比例で2桁の可能性も出ています。一方、れいわ新選組は選挙区・比例ともに苦戦しており、2024年に躍進した国民民主党も今回は現状維持がやっとの情勢です。FNN合同世論調査(2/6)共同通信 全国電話世論調査(1/31-2/2)
「なぜこんなに差がついたのか」3つの要因
自民圧勝の背景には、高市人気だけではない構造的な理由があります。
要因1:高市首相の個人人気と「空中戦」の優位
高市内閣の支持率は共同通信調査で63.6%。政権幹部は「演説会場での人気に高市首相自身も手応えを感じている」と語っています。注目すべきは、NHKの日曜討論の欠席や「円安ホクホク発言」という逆風があったにもかかわらず、支持が落ちなかったことです。あるベテラン議員は「失言で風向きが変わるかと不安だったが、高市人気で蹴散らした」と驚きを見せています。
要因2:小選挙区制度という「1位総取りのサバイバルレース」
衆議院の小選挙区制度は、各選挙区で1位の候補者だけが当選する仕組みです。たとえば、ある選挙区でA候補が40%、B候補が38%、C候補が22%の得票だった場合、わずか2ポイント差でもAだけが議席を得て、BとCは何も手にできません。つまり、支持率で数ポイントの差であっても、全国の議席数では大きな開きになりやすいのです。共同通信によれば、自民は全289小選挙区のうち180程度で優位に立っていますが、JNNの終盤調査では全国に約78の接戦区が存在し、その多くが数ポイント差の攻防です。投票率が1%変わるだけで、与党が「3分の2」に届くかどうかが入れ替わる可能性があるとも指摘されています。「圧勝ムード」の裏に、実はギリギリの戦いが数十選挙区で同時進行している――だからこそ、あなたの選挙区の一票が全体の構図を動かしうるのです。共同通信 終盤情勢調査JNN終盤情勢調査(2/3-5)
要因3:中道が「受け皿」になりきれなかった
米外交専門誌「ディプロマット」の高橋浩祐東京特派員は、世界的な右派ポピュリスト台頭の流れの中で高市支持を位置づけています。国際秩序の動揺や不安の中で「強い言葉で歯切れよく語る」リーダーが支持を集めやすい環境にあるという分析です。その受け皿になるべき中道が無党派の期待を吸収できなかったことが、自民の支持回復のもう一つの側面だと指摘されています。
投票先を考えるうえで、各党の「暮らしに関わる政策」の違いを整理しました。
| 争点 | 自民・維新(与党) | 中道改革連合 | チームみらい |
|---|---|---|---|
| 物価高対策 | 「責任ある積極財政」を掲げ、成長投資で賃上げを促進 | 食料品の消費税軽減税率を恒久的にゼロに。ジャパン・ファンド創設で財源確保 | 消費税減税より社会保険料の引き下げを優先。働く人の手取り増加を重視 |
| 安全保障 | 防衛力強化、非核三原則の見直し議論、スパイ防止法に意欲 | 専守防衛を基本に現実的な外交・防衛政策。非核三原則堅持 | 安保政策は是々非々で対応。テクノロジーを活用した防衛効率化 |
| 政治改革 | 政治資金透明化の推進 | 政治資金の透明化を断行。選挙制度改革に取り組む | 政治資金をデジタルで「丸見え化」。既に公開ツールを開発・運用中 |
| 憲法改正 | 終盤で改憲への意欲を前面に。3分の2があれば発議可能 | 憲法改正論議の深化は認めるが、慎重な姿勢 | 特定の立場を取らず、データと議論に基づく判断を重視 |
与党圧勝は暮らしにどう影響するか
議席の偏りには良い面と心配な面の両方があります。あなたはどちらを重視しますか。
- 政策決定が速くなり、経済対策や外交が迅速に動く
- 国会のねじれによる停滞が起きにくく、予算もスムーズに通る
- 国際社会に安定した政権の姿を示し、外交交渉力が高まる
- 野党のチェック機能が弱まり、政策議論が不十分になる恐れ
- 3分の2(310議席)を超えると参院否決の法案も再可決が可能に
- 憲法改正の発議が容易になり、十分な国民的議論なしに進む懸念
九州大学の南野森教授(憲法学)は、与党で3分の2を占めた場合について「実質的には一院制に近い運用ができてしまう。これは熟議の政治に反する結果を招く可能性がある」と指摘しています。一方で、政策が速やかに実行できることで景気回復が加速する可能性もあり、評価は有権者一人ひとりが判断すべき点です。
政治ジャーナリストの田崎史郎氏は「情勢調査の報道が次の調査に影響している」と指摘しています。朝日新聞が「300議席を超す」と報じた後にさらに自民支持が伸びたとされ、優勢報道が「勝ち馬に乗る」心理を刺激した可能性があります(バンドワゴン効果)。
一方、「負けている方を応援したくなる心理」もあります。これはアンダードッグ効果(判官びいき効果)と呼ばれ、たとえばスポーツで圧倒的不利なチームに声援を送りたくなるのと同じ心理です。どちらの効果が強く出るかは予測が難しく、だからこそ「情勢調査は確定ではない」と言われるのです。
投票前に知っておきたいQ&A
今回の選挙ならではの疑問に答えます。
2026年1月16日に結成された新党で、立憲民主党と公明党の「衆議院議員」が離党して参加しました。ただし、参議院議員と地方議員は元の党(立憲民主党・公明党)に残っています。つまり「衆議院だけの新党」で、参議院では今も立憲・公明が存在しています。比例代表で投票する場合の名前は「中道」です。
絶対安定多数(261議席)は、全17常任委員会で委員長と委員の過半数を与党が占められる数です。法案審議を自分たちのペースで進められます。3分の2(310議席)はさらに強力で、参議院が否決した法案を衆議院だけで再可決でき、さらに憲法改正の発議も可能になります。今回、与党で310議席に届く可能性がFNN調査で指摘されており、これは非常に大きな意味を持ちます。
AIエンジニアの安野貴博氏が党首を務める新興政党で、2025年の参院選で国政政党になったばかりです。「テクノロジーで誰も取り残さない日本へ」をスローガンに、社会保険料の引き下げや給付金のプッシュ型配信、政治資金の見える化などを掲げています。SNSやAIを活用した双方向の政策づくりが若年層を中心に支持を集め、早稲田大学のマニフェスト評価では全政党中1位を獲得しました。今回は比例で2桁議席の可能性が出ています。早大IDI評価
2025年の参院選で躍進した参政党は、今回の衆院選でも比例で10議席前後が予想されています。SNSや動画メディアを活用した情報発信で一定の支持層を獲得しており、既存政党に不満を持つ保守層の受け皿になっていると分析されています。
「ボートマッチ」(政策マッチングサービス)がおすすめです。日本経済新聞やYahoo!ニュースが提供しており、10問程度の質問に答えるだけで、自分の考えに近い政党が分かります。Yahoo!ニュースの調査では、投票の参考情報として「ボートマッチ」を挙げた人が12.7%に上っています。使い方は簡単で、「衆院選 ボートマッチ」で検索すると各社のサービスが見つかります。
- 投票所入場券の確認(届いていなくても本人確認書類があれば投票可能)
- 小選挙区では「候補者名」、比例代表では「政党名」を記入する
- 最高裁判所裁判官の国民審査も同時に行われる
- 大寒波予報のため、足元や交通状況に十分ご注意を
- 期日前投票は2月7日(前日)まで利用可能
- 各社の情勢調査は与党300議席超、中道90議席台を示しているが、投票先未定者が2〜3割いて結果は変わりうる
- 与党3分の2は「法律の再可決」「憲法改正発議」を可能にする重大な分岐点
- 物価高対策、安全保障、政治改革など暮らしに直結する政策の違いを見て判断を
ある有権者がネット上でこう語っていました。「99対1で勝つのと51対49で勝つのでは、当選者のその後の言動に影響が生じる」。たとえ応援する候補が落選しても、接戦を強いられた当選者は次の選挙を意識して少数派の声にも耳を傾ける。つまり、あなたの一票は結果にかかわらず、政治の質に影響を与えます。
情勢報道に左右されず、あなた自身の暮らしと価値観で一票を投じてください。
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