副首都構想とは?基準や候補都市をわかりやすく解説
この話は「大阪が選ばれるか」ではなく、「日本がどう分散するか」の話です。
2025年末、政治の世界で大きな議論を呼んでいるテーマがあります。それが「副首都構想」です。日本維新の会が強く主張し、自民党との連立協議でも中心的な論点となっているこの構想。あなたは内容をご存じでしょうか。
災害時のバックアップ機能という安全面だけでなく、日本経済の成長戦略としても注目されているこの政策。しかし、どの都市が候補になるのか、どんな基準があるのかについては、意外と知られていません。この記事では、副首都構想の全体像を、できるだけわかりやすくお伝えします。
最新情報
2025年12月24日時点で、自民党と日本維新の会の協議は継続中です。当初予定していた年内の論点整理は年明けに持ち越されました。特別区設置を副首都の要件とするかどうかで、両党の意見に隔たりがあります。
副首都構想って何?今なぜ必要なの?
副首都構想とは、東京以外の地域に首都機能の一部を担える都市圏を作るという計画です。簡単に言えば、東京だけに頼らない国づくりを目指す取り組みといえます。
副首都が必要とされる2つの理由
この構想には、大きく分けて2つの目的があります。
1つ目は災害時のリスク分散です。首都直下地震や南海トラフ巨大地震が発生した場合、東京の機能が停止してしまう可能性があります。そんな緊急時に、政治や経済の中枢機能を代替できる場所を事前に整備しておこうというわけです。
2つ目は経済成長の促進です。日本は約30年間、経済成長が停滞しています。その原因の一つとされるのが東京一極集中です。人口や企業が東京に集まりすぎることで、地方経済が衰退し、国全体の活力が失われているという指摘があります。副首都を作ることで、東京と並ぶ経済圏を育て、日本全体の成長を押し上げようという狙いがあります。
(注)費用試算について
4.0〜7.5兆円は、1997年に国土交通省の首都機能移転問題に関する懇談会が示した旧試算です。現在の副首都構想についての公式な費用試算は維新からも政府からも発表されていません。移転規模や内容が異なるため、実際の費用は大きく変動する可能性があります。
副首都の基準とは?特別区設置が条件?
副首都構想で最も議論を呼んでいるのが、どの都市が副首都になれるのかという点です。
維新が主張する「特別区設置」という条件
日本維新の会は、副首都の要件として特別区の設置を掲げています。特別区とは、東京23区のような仕組みのことです。
特別区を設置できる法的根拠は、2012年に制定された「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(大都市法)です。この法律では、政令市単独または隣接自治体を含めて人口200万人以上の地域が、住民投票を経て政令市を廃止し特別区に再編できると定めています。
この法定要件を満たす政令市は、単独では大阪市(約267万人)、横浜市(約369万人)、名古屋市(約226万人)の3市のみです。隣接する自治体と合わせれば、札幌市、さいたま市、千葉市、川崎市、京都市、堺市、神戸市、福岡市も法的には対象となり得ます。
なぜ特別区が必要なのか
維新は「二重行政の解消」を理由に挙げています。現在の政令市では、市と道府県の両方が似たような事業を行い、無駄が生じていると主張します。特別区制度では、基礎的なサービス(福祉・教育など)は各区が担い、広域的なインフラ整備や成長戦略は道府県が一元管理します。これにより効率的な行政運営が可能になるという考え方です。
ただし、特別区の設置には関係自治体の議会承認と住民投票での過半数の賛成が必要です。大阪では2015年と2020年の2回、住民投票が実施されましたが、いずれも僅差で否決されました。
候補都市はどこ?各都市の思惑
副首都に関心を示す都市は複数ありますが、それぞれ異なる立場をとっています。
| 都市 | 人口 | 市長の発言・立場 | 主な論点 |
|---|---|---|---|
| 大阪市 | 約267万人 | 吉村知事(維新代表)が積極推進 | 「副首都にふさわしい大都市制度は都構想」と主張(2025年12月発言) |
| 福岡市 | 約167万人 | 高島市長が適地と主張 | 「南海トラフと同時被災しないリスク回避の観点で福岡は適地」(2025年12月発言) |
| 名古屋市 | 約226万人 | 広沢市長が特別市を志向 | 「副首都にふさわしいが、特別区化は今のところ考えていない」(2025年10月発言) |
| 横浜市 | 約369万人 | 山中市長が特別市を提唱 | 「強固な都市基盤を目指すために特別市を提唱」(2025年9月発言) |
| 京都市 | 約146万人 | 松井市長が文化面での役割を強調 | 「市の消滅・統合は考えていないが、関西圏が一端を担う自負はある」(2025年12月発言) |
| 神戸市 | 約152万人 | 久元市長(指定都市市長会長) | 「副首都構想と大都市制度の密接不可分性には疑問」(2025年12月発言) |
上記は各市長の公式発言に基づく情報です。このように、各都市の考え方は大きく異なっており、大阪以外の都市は特別区設置を前提としない副首都のあり方を求めています。
特別市と特別区の違いは?
特別区は、政令市を廃止して複数の区に分割し、広域行政(都市計画・交通など)を道府県に一元化する制度です。根拠法は2012年制定の「大都市地域における特別区の設置に関する法律」です。東京23区が唯一の実例です。
特別市は、政令市に道府県の権限も併せ持たせ、道府県から独立させる制度です。1947年の地方自治法施行時に規定されましたが、府県側の強い反対により一度も実現せず、1956年に関連条文が削除されました。現在は法制度として存在せず、実現には新たな法律制定が必要です。
つまり、特別区と特別市は方向性が正反対の制度であり、大都市制度をどう設計するかという根本的な考え方の違いを示しています。
メリットとデメリットを整理
メリット
- 災害時に首都機能を維持できる安全保障の強化
- 東京一極集中が緩和され、地方経済が活性化する
- インフラの有効活用が進み、国全体の生産性向上につながる
- 複数の経済圏が競争することで、イノベーションが促進される
- 二重行政の解消により行政効率が改善する可能性
デメリット・課題
- 莫大な費用負担(1997年試算で4〜7.5兆円、現在の公式試算なし)
- 副首都への過度な集中で新たな一極集中が生じる恐れ
- 行政機能の分散がかえって非効率を招く可能性
- 不動産価格の高騰など地域経済への影響の可能性
- 特別区設置には住民投票が必要で実現のハードルが高い
自民党と維新の対立点
連立与党である自民党と日本維新の会ですが、副首都構想では意見が分かれています。
維新の立場
維新は特別区設置を副首都の要件とすることにこだわっています。これは、過去2回の住民投票で否決された大阪都構想を、副首都という枠組みで実現させたいという思惑があるとみられています。
自民党の立場
一方、自民党はより多くの都市が副首都に手を挙げられる仕組みを求めています。特別区設置を要件にすると、実質的に大阪だけが有利になるという批判があります。自民党の小林鷹之政調会長は「特定の一つの都市に限っていくよりも、複数の地方が手を挙げられる枠組みが必要」と発言しています。
国民民主党の動き
国民民主党は特別市制度の創設を副首都の前提条件とすべきだと主張し、独自の法案骨子をまとめています。人口150万人超の政令市などを対象とする案です。
押さえておきたいポイント
- 副首都構想は2026年通常国会での法案成立を目指している
- 災害対策と経済成長の両面から必要性が議論されている
- 特別区設置を要件とするかで与党内でも意見が分かれている
- 大阪、福岡、名古屋、横浜など複数の都市が関心を示している
- 実現には莫大な費用と住民投票など高いハードルがある
- 各都市の思惑が異なり、全国的な合意形成が課題
今後の見通しと私たちへの影響
副首都構想は、2025年12月末時点では協議が継続中です。特別区設置を要件とするかどうかで意見がまとまっておらず、年明けも議論が続く見込みです。
実現すればどう変わる可能性があるか
もし副首都が実現した場合、以下のような影響が考えられます(注:これらは予測であり、確定した事実ではありません)。
【想定されるメリット】
• 中央省庁の一部機能が移転し、移転先都市に大きな経済効果が生まれる可能性
• 東京一極集中が緩和され、地方経済が活性化する可能性
• 災害時のリスク分散により国家機能の安定性が向上する可能性
【想定されるデメリット・課題】
• 移転先の地価上昇や、新たな一極集中が生じる恐れ
• 莫大な税金投入による財政負担
• 行政機能の分散による非効率化の可能性
実際にどのような影響が出るかは、副首都の規模、移転する機能の範囲、実施方法などによって大きく変わります。政府や維新からの公式な影響試算は現時点では発表されていません。
私たちにできること
この問題は、単なる大都市間の競争ではありません。私たちの税金がどのように使われるのか、日本の未来の国土づくりをどう進めるのかという、国民全体に関わる重要なテーマです。
報道に注目し、公式発表や信頼できる情報源から最新動向を確認することが大切です。副首都構想は、実現すれば多くの国民の暮らしや仕事に影響を与える可能性のある政策です。
まとめ
副首都構想は、災害対策と経済成長を両立させる壮大な計画です。しかし、どの都市が、どのような条件で副首都になるのかについては、まだ結論が出ていません。特別区設置を必須とするのか、より多くの都市に門戸を開くのか。2026年の通常国会に向けて、議論の行方から目が離せません。
東京一極集中を是正し、災害に強い国づくりを進めることは、私たち国民にとっても重要な課題です。この機会に、日本の未来について一緒に考えてみませんか。
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