今回は看護師国家試験の合格率に焦点を当てて、特に新卒と既卒の受験者でなぜこんなにも合格率に差があるのかを詳しく見ていきたいと思います。看護師になるためには、この国家試験に合格することが必須ですが、その難易度は受験者の背景によって大きく変わることがあります。
この記事を通じて、新卒と既卒受験者それぞれの状況を理解し、どのように準備すればよいかのヒントをお届けしたいと思います。
看護師国家試験とは
看護師国家試験というのは、看護師として働くために必ず合格しなければならない大切な試験です。この試験を通過することで、患者さんの健康を支える看護師としての仕事ができるようになります。
特に新卒者(学校を卒業してすぐの人)と既卒者(卒業後、時間が経ってから試験を受ける人)で、受験する人の数が違いますし、合格率にも大きな差があります。新卒者は学校のサポートがあるため、試験に向けた準備がしやすいです。一方で、既卒者は自分一人で勉強を進める必要があり、準備が難しい場合が多いです。
では、新卒者と既卒者の合格率の具体的なデータを見てみましょう。
看護師国家試験 合格率推移(2012年~2024年)
以下の表は、看護師国家試験の実施回ごとの受験者数、合格者数、および合格率(全体、新卒、既卒)をまとめたものです。
実施回(西暦) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(全体) | 新卒の合格率 | 既卒の合格率 |
---|---|---|---|---|---|
第101回(2012年) | 53,702 | 48,400 | 90.1% | 95.1% | 33.7% |
第102回(2013年) | 56,530 | 50,244 | 88.8% | 94.1% | 35.7% |
第103回(2014年) | 59,725 | 53,495 | 89.6% | 95.2% | 42.7% |
第104回(2015年) | 60,947 | 54,871 | 90.0% | 95.5% | 39.2% |
第105回(2016年) | 62,154 | 55,585 | 89.4% | 94.9% | 35.5% |
第106回(2017年) | 62,534 | 55,367 | 88.5% | 94.3% | 35.6% |
第107回(2018年) | 64,488 | 58,682 | 91.0% | 96.3% | 44.5% |
第108回(2019年) | 63,603 | 56,767 | 89.0% | 94.7% | 29.3% |
第109回(2020年) | 65,568 | 58,513 | 89.2% | 94.7% | 37.4% |
第110回(2021年) | 66,124 | 59,769 | 90.4% | 95.4% | 44.4% |
第111回(2022年) | 65,025 | 59,344 | 91.3% | 96.5% | 38.9% |
第112回(2023年) | 64,051 | 58,152 | 90.8% | 95.5% | 36.5% |
第113回(2024年) | 63,301 | 55,557 | 87.8% | 93.2% | 30.4% |
表を見て分かる通り、新卒者と既卒者の合格率の差は「こんなにも違ってくるのか?」と
注:
- 合格率は、一般問題と状況設定問題の合計得点率で算出されています。
- 新卒は、当該年度に看護師国家試験を受験した初めての人を指します。
- 既卒は、当該年度以前に看護師国家試験を受験したことがある人を指します。
ポイント:
- 近年、看護師国家試験の合格率は全体で90%前後で推移していますが、新卒と既卒の間で差があります。
- 新卒の合格率は90%台後半と高く、近年は95%を超える年もあります。
- 一方、既卒の合格率は40%台前半と低く、近年はさらに低下傾向にあります。
- この合格率の差は、学習環境や勉強時間、モチベーションなどの違いが影響していると考えられます。
新卒者の合格率が高い理由
新卒者の看護師国家試験の合格率が高い主な理由は、彼らが最新の知識と技術を学ぶ環境にいることです。看護学校では、試験に必要な知識だけでなく、実際の看護現場で使う技術も教えています。さらに、学校には先生やクラスメートがいて、わからないことがあればすぐに質問できる環境が整っています。これにより、学習内容が頭に入りやすく、試験への対策も効果的に進めることができるのです。
また、新卒者は学業に専念できる時間が確保されています。大学や専門学校では、卒業前に国家試験に向けた準備期間が設けられているため、集中して勉強することが可能です。このようなサポート体制が、新卒者の合格率を高めています。
次に、既卒者が直面する問題について見ていきましょう。
既卒者の合格率が低い理由
既卒者の合格率が比較的低い主要な理由は、学習環境と時間の制約です。既卒者の多くは、就職してから時間が経過しており、学生時代に学んだ知識が薄れがちです。加えて、フルタイムで働いている場合、勉強時間を確保するのが非常に困難です。そのため、試験対策が不十分になりがちで、これが合格率に直接影響しています。
また、既卒者は自己学習が主となるため、疑問点や不明点を即座に解決できる環境にないことも大きな障壁となります。学校のように教師や同級生が周りにいないため、学習のモチベーションを維持することも一層難しいです。これにより、学習効率が低下し、試験の合格に必要なレベルまで知識を積み上げることができない場合が多いです。
次に、新卒者と既卒者の合格率の違いを縮めるためにどのような対策が考えられるかを見ていきます。
新卒と既卒の看護師国家試験合格率差を縮めるための対策
これまで書いた記事の通り、看護師国家試験の合格率は、新卒と既卒で大きな差があります。この合格率差を縮めるためには、既卒者自身が以下の点に注意して学習することが重要です。
1. 学習計画の立案と実行
独学で勉強する場合は、計画的に学習することが重要です。市販の参考書や問題集を活用し、効率的に勉強を進めましょう。また計画を立てる際には、以下の点に注意しましょう。
- 自分の学習ペースを把握する
- 目標とする合格点を設定する
- 各科目の学習時間配分を決める
- 定期的に進捗状況を確認する
2. 勉強時間の確保
勉強時間の確保は、特に仕事や家事との両立が求められる場合、非常に重要です。
効率的に学習するためには、一日の隙間時間を見つけ出し、それを活用することがポイントです。
例えば、通勤時間にポッドキャストやオーディオブックで学習したり、昼休みに短い問題集を解くなど、小さな時間を積み重ねることが成功の鍵を握ります。これにより、忙しい日常の中でも学習を進めることが可能になります。
3. モチベーション維持
既卒者が看護師国家試験の勉強を続けるためには、モチベーションを維持することが非常に重要です。目標を明確に設定し、それを友人や家族に宣言することで、自分へのプレッシャーと支援の両方を確保できます。
例えば、毎週の学習時間の目標を設定し、その進捗をSNSで報告することが効果的です。この公開の約束は、学習を継続する強い動機付けになります。
4. 自分に合った学習方法を見つける
自分に合った学習方法を見つけることは、効率よく知識を身につけるために非常に重要です。
例えば、視覚的に学ぶのが得意な人は、図やチャートを用いた学習が効果的です。一方で、聞くことで理解を深める聴覚的学習者には、講義の録音やポッドキャストが適しています。
また、実際に手を動かして学ぶことが好きな人は、模擬試験や実験を通じて学ぶ方法が合っているかもしれません。自分の学習スタイルを理解し、それに合わせた方法を選ぶことで、学習効率が格段に向上します。
- 過去問を解く
- 問題集を解く
- 参考書を読む
- 講義を聴く
- オンライン学習ツールを活用する
5. 苦手科目を克服する
苦手科目は、早めに克服することが重要です。苦手科目を克服するには、以下の点に注意しましょう。
- 基礎からしっかりと学習する
- 問題集を繰り返し解く
- 分からない部分は人に質問する
6. 試験本番を想定した練習をする
試験本番を想定した練習をすることで、本番での緊張を和らげることができます。以下は、いくつか例です。
- 過去問を時間内に解く
- 模擬試験を受ける
- 友達と模擬試験を行う
東京アカデミーやGakken、メディックメディアなど、看護模試は多くあります。お金はかかりますが、なるべく多くの模試を受けることをおすすめします。
緊張感を味わうために、予備校や出身校で他生徒と受けられれば一番いいですね。
模試を受けるメリット:5つのポイント
模試は、受験勉強の重要なツールの一つです。定期的に模試を受けることで、以下の5つのメリットを得ることができます。
1. 自分の実力と立ち位置を把握できる
模試を受けることで、自分の現在の学力レベルや弱点・得意分野を把握することができます。学校での定期テストとは異なり、模試は広い範囲から出題されるため、自分の実力を全国レベルで測ることができます。
2. 試験に慣れることができる
模試は、本番の試験に近い形式で行われます。そのため、模試を受けることで、試験時間配分や解答方法などに慣れることができます。本番での緊張を和らげ、実力を発揮するためにも効果的です。
3. 弱点克服に役立つ
模試の結果は、科目別や設問別に分析することができます。自分の弱点分野を把握することで、重点的に学習することができます。また、模試の解説を活用することで、理解が深まります。
4. モチベーション維持につながる
模試の結果は、自分の実力向上を確認する指標となります。目標とする偏差値を達成したり、順位を上げたりすることで、モチベーションを維持することができます。
5. 適切な学習計画を立てることができる
模試の結果を分析することで、自分の学習計画を立てることができます。弱点分野を克服するために、どのような教材を使用するか、どのくらいの時間勉強するかなどを具体的に決めることができます。
7. 情報収集
看護師国家試験の成功は、効果的な情報収集から始まります。試験の日程や出題傾向、合格に必要なポイントを理解するため、公式サイトや過去の受験者のブログ、専門の予備校情報を定期的にチェックしましょう。
例えば、公式サイトでは最新の試験情報や変更事項がアップデートされ、受験生向けのFAQも充実しています。また、過去に試験に合格した人のブログからは、具体的な勉強方法や試験当日の体験談が得られるため、準備に役立ちます。
以下は、情報収集の例です。
- 厚生労働省のホームページ
- 看護師国家試験対策の専門機関のホームページ
- 看護師国家試験対策の書籍や雑誌
- 看護師国家試験対策のブログやSNS
8. 周囲の人のサポートを活用する
看護師国家試験合格に向けて学習を進める上で、周囲の人のサポートは大きな力となります。一人で抱え込まず、積極的にサポートを活用しましょう。
以下は、サポートを活用できる例です。
- 家族や友人
- 看護師国家試験対策の予備校や塾
- 看護師国家試験対策のオンラインコミュニティ
9. 健康管理
看護師国家試験は、知識だけでなく、集中力や持久力も必要となる難関試験です。合格を勝ち取るためには、日々の健康管理が非常に重要です。十分な睡眠と栄養をとり、適度な運動をしましょう。
10. 諦めない
これ、大事ですよね!
看護師国家試験は、決して簡単ではありません。しかし、努力すれば必ず合格することができます。諦めずに学習を続けましょう!!
まとめ
この記事を通じて、看護師国家試験の合格率には新卒者と既卒者で大きな差があること、そしてその理由と対策について記事を書きました。
記事を読んでいただければ分かるように、できる限り「看護師国家試験」は現役合格することが望ましいです。仕事をしながら勉強するということは本当に大変だということですね。
僕としては、准看護師試験を受験しておくこともおすすめします!万が一、看護師国家試験を不合格だった場合、どうせ働くなら准看護師として病院で働けば技術や知識、経験が得られるからです。
看護師を目指すならメリットが多いはずです。もちろんデメリットになってしまうこともあると思いますが・・・。
既卒者はデータ上からも、やはり不利な立ち位置にいます。今、現役生なら国家試験の一発合格を目指し、既卒者は勉強時間の管理を徹底しモチベーションを維持しながら頑張っていきましょう!!
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