ヘルマン・エビングハウス(Hermann Ebbinghaus)は、1850年1月24日にドイツで生まれた心理学者です。彼は記憶に関する実験的研究の先駆者であり、忘却曲線を発見したことで知られています。
エビングハウスの忘却曲線は、人が一度覚えた内容を再度覚えるためにかかる時間の「節約率(どれくらい減らすことができるのか)」を時間軸で表したものです。またエビングハウスの忘却曲線に基づく学習法は、短時間で記憶を定着させ、知識を身に付けることができるため、多くの人々が関心を持っています。
忘却曲線とは何か?記憶が定着しない理由、復習の重要性や具体的な勉強法を紹介します。
僕は看護師国家試験の受験勉強のとき、インターネットで効率的な勉強方法を検索していました。多くの受験生や資格試験を受けた方も、同じようなことをしたのではないでしょうか。しかし、僕にとって、繰り返し学習するという地道な方法が最も効果的で、最強の勉強方法でした。
エビングハウスの忘却曲線とは何か?
エビングハウスの忘却曲線の概要
エビングハウスの忘却曲線とは、学習した情報が時間とともに忘れられる速度を表した曲線のことです。エビングハウスは、自身で単語を覚える実験を行い、その結果をグラフ化したことで、この忘却曲線を発見しました。忘却曲線は、学習後すぐには情報を覚えていても、時間が経つにつれて徐々に忘れていくことを示しています。
エビングハウスはどのようにして忘却曲線を発見したのか?
エビングハウスは、1800年代後半に、人々が新しく学んだ情報をどれくらい早く忘れるのかを調べるために、いくつかの実験を行いました。
実験では、エビングハウス自身が無意味な音節のリストを暗記し、ある一定の時間が経過した後にどれだけ思い出せるかを確認しました。この実験を数分から数日間にわたって繰り返し行いました。
エビングハウスは、結果をグラフに表し、時間の経過とともに記憶力が急速に低下することを発見しました。つまり、人は学習直後に最も速く忘れ、その後、時間が経過するにつれて記憶力が平準化されるということです。このパターンは、後に「忘却曲線」と呼ばれるようになりました。
また、エビングハウスは、学習した情報の量や学習方法が、その情報を忘れる速度に影響を与えることも発見しました。繰り返し練習することで、忘れる速度を遅くすることができ、記憶の保持を向上させることができるという結果に至ったのです。
時間と忘れる割合の関係
時間(分/時間/日) | 忘れる割合(%) |
---|---|
20分後 | 42 |
1時間後 | 56 |
1日後 | 67 |
6日後 | 77 |
31日後 | 79 |
この表から、時間が経過するにつれて情報を忘れる割合が高くなることがわかります。特に最初の20分間に42%もの情報が忘れられてしまうことが注目されます。
また1日を過ぎると、すでに2/3以上の情報が忘れられてしまうこともわかります。これらの結果から、情報を長期的に覚えるためには、その情報を定期的に復習することが必要であることが示唆されます。
忘却曲線のメカニズム
情報の保存と再生
情報を保存するためには、情報を繰り返し復習することが必要です。また、情報を再生することで記憶を定着させることができます。例えば、学習した内容を自分で説明することで情報を再生し、記憶を定着させることができます。
忘却の原因とメカニズム
忘却の原因としては、時間が経つことや新しい情報が入ってくることが挙げられます。また情報を繰り返し復習しない場合、記憶が定着せず忘却してしまうこともあります。
忘却曲線を克服する方法
繰り返すことの重要性
忘却曲線を克服するためには、復習の重要性が挙げられます。学習した情報を定期的に復習することで、情報を定着させることができます。例えば、学習した内容を1日後、1週間後、1か月後に復習することで、情報を長期的に覚えることができます。
スペーシング効果
スペーシング効果とは、情報を繰り返し復習する間隔を徐々に広げることで、情報を長期的に覚える効果のことです。例えば、学習した内容を1日後、3日後、1週間後、2週間後に復習することで、情報を長期的に覚えることができます。
アクティブラーニングの効果
アクティブラーニングとは、自分で情報を整理し理解を深めることで、情報を定着させる学習方法のことです。例えば、学習した内容を自分でまとめたり、問題を解いたりすることで、情報を定着させることができます。
忘却曲線を利用した学習法
フラッシュカード学習法
フラッシュカード学習法は、カードに問題と答えを書いて、繰り返し復習することで情報を定着させる方法です。
例えば、英単語を覚える場合、カードに単語を書いて裏面に意味を書いたものを繰り返し見ることで、単語を覚えることができます。この方法は英単語だけでなく、様々な科目や仕事を覚えることにも使えます。
スマホのアプリでも見かけますよね。僕はウォーキング途中に繰り返し見ながらこの勉強方法を実践していました。
スペーシング学習法
スペーシング学習とは、一度にすべてを学ぼうとするのではなく、学習活動を時間的に分散させる方法です。
- 分散練習:長期的な記憶を促進するために、学習内容を小分けにし、時間をあけて反復練習する方法です。例えば、1週間にわたって、毎日10分間単語帳を使って単語を覚えるという方法が考えられます。
- インターリーブ:異なる種類の学習活動を混在させることで、長期的な記憶を促進する方法です。例えば、数学の問題集と英語の語彙の復習を交互に行うという方法が考えられます。
- セルフテスト:自分でテストを作成し、学習内容を確認することで、長期的な記憶を促進する方法です。例えば、毎週末に自分で作ったテストを受けて、学習内容を復習するという方法が考えられます。
- 間隔をあけた繰り返し学習:学習内容を一定期間ごとに復習することで、長期的な記憶を促進する方法です。例えば、学習した内容を1日後、3日後、1週間後、1ヶ月後に復習するという方法が考えられます。
スペーシング学習法を用いることで、長期的な情報保持力を高め、概念の理解を深め、詰め込み教育の弊害を回避することができます。
このスペーシング学習法も学生のときに、結構ためしてみて実践した方法の一つですね。
アクティブラーニング学習法
アクティブラーニングは、従来の講義形式の授業とは異なり、学生たちが自ら考え、議論し、問題を解決することを重視した学習法です。
教員が学生たちに問題を出し、学生たちがグループやペアで話し合ったり、ディスカッションを行ったりすることで、深い学習が促進されます。学生たちは自己評価を行い、学習の成果が明確になるというメリットもあります。
- ディスカッション:教師がテーマに関連する問いを提示し、グループやペアで意見交換する。学生たちはお互いの意見に耳を傾け、異なる視点から考えることができます。
- プロジェクト:グループで協力して、テーマに関するプロジェクトを作成する。プロジェクトは、調査、発表、実験、アプリケーションの開発など、多岐にわたることができます。
- ロールプレイング:シミュレーションを通じて、現実的な状況に対処するためのスキルを練習する。例えば、ビジネスや医療現場などでのシチュエーションを模擬することができます。
- クイズやミニテスト:学生たちに課題を与え、短時間で解決することを求める。これにより、学生たちは自分自身で問題を解決する能力を身につけることができます。
看護学校の時に、アクティブラーニングはよくやりました。
まとめ
繰り返すという勉強法は、基本的な勉強法の一つです。
情報を一度学習しただけでは、脳に定着することができないですよね。しかし、繰り返し復習することで、記憶の定着が容易になります。さらに繰り返し復習することで、情報は長期記憶に定着し忘れることが少なくなるんです。
ただし、単に繰り返し復習するだけでは効果が限定されます。より効果的な復習を行うためには、少しずつ学習を進めること、情報を視覚化したり、声に出す・筆記することなど、様々な方法を使うことが必要になります。
また復習の頻度やタイミングにも注意が必要です。適度な間隔を空けた復習を行うことが、長期的な記憶定着につながるとされています。
何度も同じようなことを書きますが、繰り返すという勉強法は、基本であり最高の勉強法だと思っています。
「エビングハウスの忘却曲線」を上手く活用して、効率のいい勉強をしていきましょう!
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